授業料頼みから脱却へ 文科省・経産省、大学資産運用の高度化を後押し

2026年07月22日 17:59

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文部科学省。文部科学省と経済産業省は22日、大学の資産運用の促進・高度化に向けたガイドブックを公表し、財源の多様化や長期的な資産運用の考え方を示した。

今回のニュースのポイント

文部科学省と経済産業省は22日、大学の資産運用を高度化するためのガイドブックを公表しました。少子化に伴う学生数の減少が見込まれる中、授業料収入だけに依存しない大学経営への転換を後押しする狙いがあります。長期的な資産運用やガバナンス整備を促し、教育・研究を支える安定的な財務基盤の確立を目指します。

本文
 文部科学省と経済産業省は22日、「大学の資産運用の促進・高度化に向けたガイドブック」を取りまとめ、公表しました。背景には、少子化に伴う大学進学者数の減少があります。2040年には大学進学者数が現在より3割近く減少すると見込まれており、私立大学では、学生生徒等納付金が収入全体の約8割を占めており、十分な収入が得られない大学が増加することが懸念されています。従来の授業料収入に大きく依存する経営モデルの持続可能性が課題となっており、大学の財源多様化が急務となっています。

 ガイドブックは、大学を長期的な資産管理・運用を担う「アセットオーナー」の一角としても位置付けています。現状、多くの大学では預金や債券を中心とした運用が行われており、インフレ率を加味した十分な実質リターンを確保することが難しいとされています。ガイドブックでは、長期的な視点に基づく運用目標の設定や基本的な資産構成割合(基本ポートフォリオ)の策定、ガバナンス体制の整備、リスク管理の重要性を体系的に示しました。また、資産保有者に求められる運用・ガバナンス上の原則を示す「アセットオーナー・プリンシプル」や外部専門家の活用にも触れ、責任ある運用体制の構築を促しています。

 ガイドブックでは、参考事例として米国大学基金の運用も紹介しています。米国のハーバード大学やイェール大学などでは、1970年代のインフレ期を経て、利子・配当などの収入を重視する運用から、株式やオルタナティブ資産を含め、資産価格の変動も含む総合収益を重視する「トータル・リターン」運用へ移行しました。運用収益を教育研究環境の整備や奨学金などに充てる仕組みが定着しており、日本においても資産を単に保有するだけでなく、長期的な経営基盤として活用する考え方の転換が示されています。

 もっとも、米国型の運用モデルがそのまま日本のすべての大学に定着するかどうかは慎重な見極めが必要です。米国とは寄付文化の厚みや基金の規模、専門人材の層、リスク許容度が大きく異なります。ガイドブックに掲載された調査では、運用対象資産が50億円未満の大学も多く、単独で高度な分散投資やリスク管理体制を構築することが難しい大学もあります。そのため、共同運用による規模のメリットの活用や外部機関の活用など、大学ごとの規模や実情に応じた段階的な取り組みが現実的な選択肢になるとみられます。

 今回のガイドブックは、大学に対して一律にリスク投資や株式運用を義務付けるものではありません。また、短期的な運用益で経営を補填することを推奨する趣旨でもありません。損失が生じる市場リスクを踏まえつつ、適切な意思決定プロセスとガバナンスの下でリスクを管理し、中長期的に教育研究活動を支える財務基盤を整えることが重視されています。授業料頼みの経営からの脱却が迫られる中、自らの財務基盤をいかに長期視点で設計し管理していくかという、大学経営の持続可能性を重視する国の姿勢を示したものといえます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)