長崎県壱岐市で海上実験に使用された浮遊軸型風車(FAWT)の小型実験機。住友重機械工業は、小型実験機の次世代機となる2MWクラスの大型海上実証機を用いた実証フェーズへ移行する(画像提供:住友重機械工業)
今回のニュースのポイント
住友重機械工業は9日、浮体式洋上風車を開発する株式会社アルバトロス・テクノロジーと資本業務提携したと発表しました。対象となるのは、海上に浮かべた浮体と風車が一体となって回転する独自方式の「浮遊軸型風車(FAWT)」。住友重機械工業は2024年から長崎県壱岐市などで小型機による海上実験に関係各社と共同で取り組んできましたが、今後は2MWクラスの大型海上実証機を用いた実証フェーズへ移行します。資本提携にとどまらず、国産浮体式洋上風力の設計・製造・設置・保守を含む国内サプライチェーンの構築と量産化体制の確立を目指す取り組みです。
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四方を海に囲まれた日本において、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた重要技術として、海上に構造物を浮かべる「浮体式洋上風力」の導入拡大が期待されています。住友重機械工業がアルバトロス・テクノロジーとの資本業務提携を通じて進める「浮遊軸型風車(FAWT)」の事業化は、国産技術を小型の実験段階から大型実証、さらには国内産業基盤の構築へとつなげようとする試みです。
両社が目指すFAWTは、海上に浮かべた浮体構造と風車全体が一体となって回転する独特の構造を採用している点が特徴です。両社はこの独自方式によって、従来の浮体式洋上風力と比較した経済性の向上などを目指しています。ただし、現時点で具体的なコスト削減実績値が公表されているわけではなく、新しい構造アプローチによって経済性向上を図る技術開発の位置付けとなります。
この取り組みは突然始まったものではなく、継続的な技術検証を経て次の段階へ進んでいます。住友重機械工業は2024年から、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業の推進や、長崎県壱岐市における小型実験機による海上実験に関係各社と共同で取り組んできました。
今回の資本業務提携は、この検証成果を踏まえ、小型実験機の次世代機となる2MWクラスの大型海上実証機を用いた実証フェーズへ進む段階となります。現時点で2MW級の風車が完成したり、商用運転が始まったりしたわけではなく、小型実験機の次世代機となる2MWクラスの大型海上実証機を用いた実証フェーズへ進む計画です。
さらに、今回の発表において注目されるのが、風車の製造にとどまらない産業供給網の構築方針です。洋上風力発電は、風車本体だけでなく、設計、製造、設置、運転・保守まで幅広い工程で構成されます。住友重機械工業は今回の提携を通じ、自社の設計・製造技術や事業基盤を活用しながら、設計・製造・設置・保守に至る国内サプライチェーンの構築と量産化体制の確立を推進する方針を掲げました。
同社は、国産の大型浮体式洋上風力発電システムを社会実装することにより、純国産エネルギー源の確保によるエネルギー安全保障や脱炭素への貢献に加え、国内産業の振興や地域経済の活性化、雇用の創出につながると説明しています。
一連の発表内容からは、小型海上実験から2MWクラスの大型海上実証機を用いた実証フェーズへ進む一方、国内サプライチェーンの構築や量産化体制の確立も推進し、早期実用化と社会実装を目指す方向性が示されました。ただし、量産体制や国内サプライチェーンの確立は現時点で達成された実績ではなく、今後の開発と検証を経て目指す将来像となります。
日本国内で洋上風力を持続可能な産業として定着させられるか否かは、技術の確立だけでなく、国内で製造から保守までをつなぐ供給網を形成できるかにかかっています。今後は、2MW級実証機の具体的な建造・設置スケジュールや、実際の海域における発電性能・耐久性の検証、量産化に向けた取り組みが次の焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













