「持続可能な魚」なら1〜2割高でも買う59.5% 海水温上昇による漁業変化、8割超が認知

2026年09月07日 07:04

今回のニュースのポイント

内閣府が公表した「水産業に関する世論調査」の速報によると、海水温上昇により獲れる魚の種類や量が大きく変化していることを回答者の82.7%が「知っている」と回答しました。また、水産資源の持続性や環境に配慮した方法で生産されたことが表示されている水産物について、59.5%が「1割高から2割高までなら購入する」と回答。「3割高まで」(8.4%)や「価格は気にせず購入」(5.4%)を合わせると、回答者の73.3%(編集部による単純合計)が他の水産物より高くても購入する意向を示しました。海洋環境の変化に伴い、水産業への期待や食卓における価格負担の受容度が浮き彫りとなっています。

本文
 内閣府は2026年9月4日、「水産業に関する世論調査」の速報結果を公表しました。本調査は、全国18歳以上の日本国籍を有する3,000人を対象に郵送法で実施されたもので、回収数は1,522人(回収率50.7%、調査期間:7月16日〜8月23日)となっています。今回の結果は8月14日までに到着した調査票を集計した速報値であり、確報段階で回収数や各数値が修正される可能性があります。なお、参考として平成30年(2018年)にも同様の趣旨の調査が行われていますが、当時は調査員による個別面接法で実施されていたため、内閣府は今回の郵送調査結果との単純比較は行わないとしています。

 調査では、近年の海洋環境の変化について回答者の8割超が認知していました。「日本近海の海水温が上昇し、獲れる魚の種類や量が大きく変わってきていることを知っていますか」との問いに対し、「よく知っている」が25.2%、「ある程度知っている」が57.6%となり、これらを合わせた「知っている」との回答は82.7%に達しました。一方で、「あまり知らない」は14.2%、「まったく知らない」は2.6%にとどまりました。

 一方、水産業が持つ機能への期待についても尋ねています。水産業が持つ多面的な機能について期待する役割を尋ねたところ(複数回答)、「資源管理や養殖などにより、安定的かつ持続可能な形で、食料としての水産物を供給する機能」が81.0%で最多となりました。次いで「藻場、干潟などの環境を保全する機能」が60.9%、「漁村の経済や雇用、人のつながりを維持する、地域の基幹産業としての機能」が44.5%、「外国漁船などの不審な活動を監視・通報する、国境監視機能」が43.8%と続きました。

 また、水産政策への期待では、漁業・養殖業における技術開発や操業改革が71.6%で最も多くなりました。次いで「稚魚の放流や、産卵場や餌場となる魚礁の設置、藻場・干潟の保全などによって、水産資源の増殖を進めること」が57.1%、「水産物の安定供給のため、漁獲量の制限などによって水産資源の管理を行うこと」が56.9%、「外国漁船による違法操業を取り締まること」が54.5%となりました。

 消費者の購買意識においては、環境配慮型水産物に対する価格許容度が示されました。水産資源の持続性や環境に配慮した方法で生産されたことが表示されている水産物について、他の水産物と比較してどの程度高くても購入したいかを尋ねたところ、「1割高から2割高までの価格であれば購入する」が59.5%で過半数を占めました。「価格は気にせず購入する」(5.4%)、「3割高までの価格であれば購入する」(8.4%)を合わせると、何らかの価格上昇を受け入れて購入する意向を持つ割合は合計で73.3%(内閣府公表の各回答割合をエコノミックニュース編集部にて単純合計)に上ります。一方で、「同等の価格であれば購入するが、少しでも高くなるなら購入しない」は24.0%でした。

 水産業を将来にわたって維持するために消費者としてできる取り組み(複数回答)としては、「国産の水産物を積極的に購入すること」が65.0%で最多となり、「生鮮品だけでなく、出荷が安定している冷凍・加工水産物も利用することで、魚を食べる機会を増やすこと」が63.7%で続きました。「資源管理や環境に配慮して生産された水産物を選ぶこと」は29.5%でした。さらに、活力が低下した漁村地域との関わり方(複数回答)については、「国産水産物を購入し、消費を通じて漁村地域を支えたい」が74.4%と高く、水産業への支援を日常的な購買行動の延長線上として捉える意識がうかがえます。

 海水温の上昇によって獲れる魚の種類や量が変化していることを回答者の8割以上が認識し、水産業に対しては持続可能な食料供給や技術開発を求める声が多数を占めました。同時に、環境に配慮された水産物であれば一定の価格上昇を受け入れる姿勢も示されています。水産資源の維持と安定供給に向け、技術改革や資源管理が進められる中、消費者が価格負担や購買選択を通じてどのように水産業を支えていくのかが、今後の大きな焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)