フィジカルAIの社会実装へ 歩行型ロボットの公道実証を推進

2026年07月23日 07:15

フィジカル

歩行型ロボット(イメージ)。政府は「規制改革実施計画」で、フィジカルAIを活用した歩行型ロボットの公道実証に向け、歩道などでの実証実験に係る関係法令の取扱いを明確化する方針を示した。

今回のニュースのポイント

政府は「規制改革実施計画」で、フィジカルAIを活用した歩行型ロボットの公道実証を推進する方針を示しました。AIが現実世界を認識して自律的に行動するロボットの社会実装に向け、歩道などの公道での実証実験に係る関係法令の取扱いを明確化します。人手不足が懸念される物流や施設管理、建設、介護などの現場での活用を見据え、歩行者と共存できる制度整備と安全性の確保が今後の課題となります。

本文
 政府は2026年7月21日に閣議決定した「規制改革実施計画」において、現実世界の状況を認識して自律的に判断・動作する「フィジカルAI」を活用した歩行型ロボットの社会実装に向け、歩道などの公道での実証実験を推進する方針を打ち出しました。文章や画像を処理するデジタル上のAIから、物理的な環境で働くロボット技術へと応用が広がる中、少子高齢化に伴う労働力不足に対応するため、人と同じ空間で作業を担うロボットの活用ニーズが高まっています。

 計画では、脚を使って移動する歩行型ロボットが歩道などの公道で実証実験を行えるよう、法令上の取扱いを明確化するとしています。現行の運用では、ロボットと一般の歩行者をロープや専用エリアで分離することが許可の条件となる例が多く、歩行者と共存した環境での実証データの蓄積が進みにくい実態がありました。政府は道路交通法や道路運送車両法など関係法令上の取扱いを整理し、歩道などの公道での円滑な実証を可能にする方針です。

 歩行型ロボットの活用は、物品の配送にとどまらず幅広い分野への拡大が見込まれています。ビルや商業施設での荷物搬送・巡回警備をはじめ、建設現場での資材運搬や設備点検、さらには介護・福祉施設における移動補助や業務支援など、多様な産業現場での導入が想定されています。都心の大型複合施設などでは屋内外を横断する配送ロボットの運用事例も増えており、「実証」から「実用」へと移行する動きが進みつつあります。

 一方で、社会実装を本格化させるにあたっては、技術面だけでなく制度面の課題解決が不可欠です。混雑した歩道で歩行者との接触事故をいかに防ぐかといった安全対策に加え、万が一の事故が発生した際の責任の所在や保険制度の設計、街なかでの撮影に伴うプライバシー配慮など、ルールの整備が求められます。実証を通じて得られた安全性データをどのように評価し、過度な制限をかけずに運用基準を設定できるかが焦点となります。

 今回の規制改革は、ロボットの技術開発そのものを促すだけでなく、ロボットが安全に活動できる社会環境を整える取り組みとして位置付けられます。AI、センサー、ロボティクスなどの先端技術を現場で円滑に活用できるよう、安全性の確保と制度運用の柔軟化を両立させた環境整備を推進できるか、今後の制度設計が焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)