Wi-Fiは次の世代へ 総務省が6GHz帯の屋外利用を進める理由

2026年07月27日 10:09

ブロックチェーン

総務省は、6GHz帯Wi-Fiの屋外利用に向けた制度整備を進めている。工場や学校、防災など幅広い分野での活用が期待され、デジタル社会を支える通信インフラの高度化につながる。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

総務省は6GHz帯無線LAN(Wi-Fi)の屋外利用を可能にする制度整備を進めています。高速・大容量通信だけでなく、工場や物流、教育、イベント会場など幅広い分野での活用が期待されており、デジタル社会を支える新たな通信基盤として位置付けられています。

本文
 スマートフォンやパソコンの普及、IoT機器の増加に伴い、従来の2.4GHz帯や5GHz帯のWi-Fi電波は混雑が深刻化しています。こうした通信の「渋滞」を解消し、より高速で遅延の少ない通信環境を実現するため、新たに注目されているのが「6GHz帯」という周波数帯です。

 6GHz帯は、最新のWi-Fi規格「Wi-Fi 6E」や「Wi-Fi 7」で採用されており、最大320MHz幅という非常に広い通信帯域を利用できる点が大きな特徴です。これまで日本国内における6GHz帯Wi-Fiは、電波干渉を防ぐため主に「屋内限定(LPIモード)」や「屋内外での超低出力(VLPモード)」に限られて使われてきました。

 しかし、社会全体のデジタル化が進む中、より強い出力で広いエリアをカバーできる「標準出力(SPモード)」による屋外利用のニーズが急速に高まっています。

 屋外での利用が期待される現場は多岐にわたります。

 工場や倉庫などの産業現場では、金属製機器が多く電波が届きにくい環境下でも、無人搬送車(AGV)のリアルタイム制御やAIを用いた製品のキズ検知映像の伝送など、高い信頼性が求められる業務での活用が見込まれます。

 学校では、グラウンドや体育館周辺といった広い屋外スペースでのタブレット授業や部活動の映像共有に加え、災害時の避難所における屋外連絡手段としての役割も期待されています。

 また、何万人もの観客が集まる屋外スタジアムでは、混雑下でも安定して動画を視聴できる環境づくりに役立ちます。

 一方で、6GHz帯には既存の固定通信や放送中継(FPU)、衛星通信などの重要な無線システムが既に割り当てられています。高出力なWi-Fi電波を屋外でそのまま発射すると、これら既存の通信に妨害を与えてしまうリスクがあります。

 そこで鍵となるのが「自動周波数調整(AFC)」と呼ばれるシステムです。Wi-Fiのアクセスポイントが自身の位置情報をデータベースに照会し、周辺の既存無線局に影響を与えない周波数と出力を自動で計算・選択して通信を行う仕組みです。

 すでに米国やカナダなどの北米地域ではAFCシステムを用いた屋外利用が実導入されており、欧州や韓国でも検討が進んでいます。日本においても総務省を中心に、既存システムと安全に周波数を共用するための技術的条件や運用ルールの整理が行われてきました。

 6GHz帯の屋外開放と高出力化は、単なる通信速度の向上にとどまらず、産業の自動化や教育現場のDX、防災・減災機能の強化を支える重要な社会的インフラとなります。制度整備を通じて、6GHz帯Wi-Fiの社会全体での活用拡大が期待されています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)