「電波不足」の時代へ 総務省が描く2040年の通信インフラ戦略

2026年07月27日 10:51

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AIやクラウドサービスの普及などに伴い、無線通信の需要は今後も拡大すると見込まれている。総務省は2040年を見据え、限られた周波数資源を効率的に活用するため、周波数共用などを柱とした通信インフラの高度化を進めている。(写真はイメージ)

今回のニュースのポイント

AIやIoT、自動運転、DXの進展に伴い、無線通信需要は今後も拡大すると見込まれています。総務省は限られた周波数資源を効率的に活用するため、6GHz帯Wi-Fiの高度化や周波数共用を進めるとともに、2040年を見据えた通信インフラ整備を進めています。

本文
 あらゆる機器がインターネットにつながり、生成AIの活用やクラウドサービスの利用拡大が進む中、利用できる周波数のひっ迫が課題となっています。将来的な通信トラフィックの増大に対応するため、総務省は中長期的な電波政策の指針に基づき、2040年を見据えた通信インフラの高度化を進めています。

 従来の電波政策では、新たな通信需要に対して既存の事業者を別の周波数帯へ移動させる「周波数の移行」が中心的な役割を果たしてきました。しかし、利用可能な周波数帯が混雑する中、周波数の移行だけで新たな需要に対応することは容易ではありません。そこで総務省が推進しているのが、電波利用の効率化を目指す「WX(ワイヤレストランスフォーメーション)」です。

 WXの重要な要素の一つが、既存の無線システムを保護しながら、同じ周波数帯を複数の用途で活用する「周波数共用」の推進です。

 その具体的な取り組みが、制度整備が進む「6GHz帯Wi-Fiの屋外高出力利用(SPモード)」です。既存の固定通信や電波天文などとWi-Fiが同じ周波数帯を安全に共用できるよう、データベースを用いた自動周波数調整(AFC)を組み込む技術的条件の整理が行われています。

 さらに、既存の「5GHz帯Wi-Fi」においても、周波数共用を高度化する技術の導入が検討されています。気象レーダーなどの電波を検知した際、従来のWi-Fiは通信全体を中断して別のチャネルへ移動する必要がありました。これに対し、「パンクチャリング」と呼ばれる技術では、レーダー波と重なる一部の帯域(20MHz単位など)のみを非送信とし、残りの帯域を使って通信を継続します。これにより、通信の中断を抑えながら、電波の有効利用と既存システムの保護を両立させることが可能になります。

 こうした共用技術の導入が進められる背景には、工場での自動化や建設現場の遠隔施工、学校でのICT教育、災害時の通信確保など、多様な現場で安定した無線通信が求められている実態があります。

 電波は限られた公共の資源です。用途ごとの帯域割り当てに加え、デジタル技術を活用して既存システムと共用する取り組みは、2040年に向けた持続可能な通信インフラを支える基盤となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)