高市首相、消費税1%・所得連動給付案を表明 8月上旬の政府・与党決定目指す

2026年07月31日 07:05

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高市首相が記者会見で、社会保障国民会議の中間とりまとめを受けた税・社会保障改革の工程を説明する。(写真:首相官邸ホームページより)

今回のニュースのポイント

高市首相は社会保障国民会議の中間とりまとめを受け、飲食料品の消費税率1%化や所得連動給付の導入に向けた工程表を示しました。財源の具体像や制度詳細、農家・外食産業支援策は今後の予算編成等に委ねられます。政府は8月上旬の政府・与党方針決定、9月の大綱決定を経て臨時国会への関連法案提出を目指しており、社会保障と税の改革に向けたスケジュールが本格的に動き出します。

本文
 高市首相は30日、社会保障国民会議の中間とりまとめを受け、給付付き税額控除の実現に向けた工程と、その経過措置として飲食料品の消費税率1%化や所得連動給付を導入する方針を示しました。自民党臨時役員会およびその後の記者会見で表明したものです。首相は、中・低所得の現役勤労者層における「純負担率(負担額から給付額を差し引いた世帯年収比)」が主要国に比べて高い現状を問題視し、改革の本丸として「給付付き税額控除」の実現を掲げました。その前段階の経過措置(つなぎ)として国民会議の「議長案」を採用し、飲食料品に係る消費税率の1%への引き下げと、所得に連動した給付制度の導入を組み合わせる考えを明らかにしました。今年2月の衆院選公約である負担軽減の「迅速性」と「十分性」を両立させる最善の選択肢と位置付けています。

 提示された工程表(ロードマップ)では、まず今年8月上旬までに政府・与党の方針として同パッケージを決定することを目指します。続く9月には制度の詳細設計を盛り込んだ「制度大綱」を取りまとめ、秋の臨時国会に関連法案を提出して早期成立を図る考えです。実際の制度運用は段階的に進められる計画で、第1段階として令和9年(2027年)4月から飲食料品の消費税率を現行の8%から1%へ7%引き下げます。さらに同年6月以降には、自治体や公的機関が保有する既存の所得データを活用して「所得に連動したきめ細かな給付」を先行して導入します。その後、システム整備やデータ連携を完了させた上で、令和11年(2029年)4月から所得連動給付を本格導入し、それと同時に飲食料品の消費税率を元の8%に戻す方針です。

 本格導入される所得連動給付は、個人の税・社会保険料負担と現金給付を一体的に捉えて支援を行う新たな仕組みです。中・低所得者の手取り増加や「年収の壁」に伴う働き控えの緩和を狙います。野党などが提案した全世帯給付や個人住民税の基礎控除引き上げ(50万円)といった代替案に対し、首相は全世帯給付では自治体の準備やシステム対応に長期間を要することを挙げました。また住民税減税については、約3兆円規模の巨額な財源が必要となり地方財政へ恒久的な打撃を与える懸念を指摘し、1%減税と先行給付を組み合わせる議長案がスピード感や財政面で最も現実的との認識を示しました。

 今回の軽減策に伴う財源確保について、首相は「市場の信認を得るため、赤字国債(特例公債)には頼らない」と表明しました。内閣が進める「予算編成改革」を通じて、歳出・歳入両面の見直しを徹底する考えです。具体的には、租税特別措置や補助金のゼロベースでの見直しを進めるほか、外国為替資金特別会計(外為特会)や独立行政法人からの納付金、各種基金からの歳入確保をゼロベースで強化します。さらに、これまでの補正予算で習慣的に計上されてきた多額の物価高対策費を根本から見直し、本制度の財源へ組み替えることで、補正予算依存の財政運営から脱却を図ります。これにより、社会保障財源に穴を空けることなく、通年の国債発行額を適切にコントロールしながら必要な財政需要に対応できると説明しました。

 制度導入にあたっては、様々な実務上の課題への配慮も盛り込まれました。消費税率1%化に伴う農家への影響(仕入税額控除問題)や外食産業への影響に対しては、今後の予算編成プロセスの中で現場に納得感のある資金繰り支援や必要な予算措置を講じる方針です。また、2年後の税率復元に関しては法案に景気条項を盛り込まず、首相自身の責任において確実に元の8%に戻す姿勢を強調しました。今回示された改革案は、日本の社会保障と税制の見直しを目指す構造改革の一環となります。単なる一時的な物価高対策にとどまらず、将来的な緊急事態にも柔軟に対応できる税制システムの構築を目指すものであり、8月上旬の政府・与党方針決定に向けた党内調整や与野党協議の行方が注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)