EU・韓国、安全な衛星通信で協力 「IRIS²」と将来統合を検討

2026年09月18日 08:22

今回のニュースのポイント

欧州連合(EU)と韓国は9月17日、安全な衛星通信分野における協力を強化するための行政取り決めに署名しました。双方は作業部会を設置し、既存および将来の安全な衛星通信計画に関する情報交換、共同利用・ユースケースの検討を進めるとともに、EUの衛星通信コンステレーション「IRIS²」とのシステムレベルの協力に向けた技術的解決策を評価します。韓国との将来的な統合可能性を検討する枠組みの構築であり、現時点で正式参加やシステム接続が決定したわけではありません。

本文
 欧州連合(EU)と韓国は現地時間9月17日、安全な衛星通信分野での協力を推進することを目的とした行政取り決めに署名しました。今回の署名は特定の衛星通信システムへの参加や網の即時接続を決定したものではなく、今後の協力に向けた作業部会を設置し、技術的な検討を進める枠組みを設けたものです。

 本取り決めに基づき、双方は専任の作業部会を設置して協議を開始します。作業部会では、EUと韓国の既存および将来の安全な衛星通信計画について情報交換を行い、共同利用が考えられる用途やユースケースを検討した上で、IRIS²とのシステムレベルの協力に向けた技術的解決策を評価していく手順を取ります。この実務協議には、欧州委員会(EC)や欧州宇宙機関(ESA)のほか、韓国側からは防衛事業庁(DAPA)や国防科学研究所(ADD)といった機関、ならびに双方の関係当局が参加する予定となっています。

 協力の大きな焦点となる「IRIS²(Infrastructure for Resilience, Interconnectivity and Security by Satellite)」は、EUが整備を進める安全な衛星通信コンステレーションであり、第1段階の衛星打ち上げは2029年末までに予定されています。IRIS²の制度設計においては国際条約を通じた第三国との協力も想定されており、欧州委員会の公表資料によると、これまでに国際条約を締結している第三国としてノルウェーとアイスランドが挙げられています。これに対し、今回韓国との間で合意された内容は、国際条約に基づく具体的なシステム参加を定めたものではなく、行政取り決めに基づいて将来の技術的協力や統合可能性を検討する段階に位置付けられます。

 産業面への影響について欧州委員会は、今回の協力関係を通じて韓国側にとってIRIS²のアーキテクチャーへのアクセスにつながる可能性がある一方、EUの宇宙産業にとっても韓国が持つ産業面の専門性を活用できる可能性があると説明しています。作業部会では、両国の技術基盤を踏まえ、どの領域で具体的な協力や技術的解決策の評価が進められるかが検証されていく見通しです。

 EUと韓国による今回の合意は、衛星通信システムの統合や参画そのものを確定させたものではなく、安全な衛星通信に関する協力と技術評価を開始するための枠組みとなります。今後は作業部会を通じた実務協議の進展に伴い、IRIS²との具体的な技術協力の領域や、将来の統合に向けた技術的な検討がどこまで進むかが次の確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)