政府、AI・行政DXで行政サービス改革 重点分野へ戦略的人材配置

2026年07月31日 12:22

霞が関

東京・霞が関駅。政府は令和9年度予算編成に向けた国家公務員の人件費配分方針を決定し、AI活用や行政DXを進めながら重点分野への戦略的人材配置を進める方針を示しました。

今回のニュースのポイント

政府は30日、令和9年度予算編成に向けた国家公務員の人件費予算配分と体制整備の基本方針を決定しました。人手不足が深刻化する中、AIの活用や行政DXなどによる業務改革を進めながら、行政サービスの維持・向上を目指す方針を明確にしました。経済安全保障やサイバーセキュリティなど重点分野へ人材を戦略的に再配置し、人口減少時代に対応した行政運営への転換を掲げています。

本文
 政府は30日、令和9年度(2027年度)予算編成に向けた「内閣の重要課題を推進するための体制整備及び人件費予算の配分の方針」を決定しました。同方針では「責任ある積極財政」の考え方の下、経済安全保障や食料安全保障、サイバーセキュリティなどのリスクを最小化する「危機管理投資」や先端技術に係る「成長投資」をはじめ、外交・安全保障、防災・減災、外国人政策といった内閣の重点施策に対応するための体制構築を目指すとしています。各府省は8月末の期限に向けて、機構や定員、給与改定に関する要求手続きを進めることになります。

 今回の方針では、AIやデジタル技術の活用、業務改革を進めながら行政サービスを維持・向上させる考え方が示されました。いわば「増員なき行政改革」ともいえる方向性です。公務員数の単純な増員だけに頼るのではなく、AIの利活用や業務プロセスの見直しを通じた行政のデジタル化を強力に推進します。業務の省力化・効率化を進めることで、職員が人の手に頼らざるを得ない高度な業務や現場対応に注力できる環境を整え、行政サービスの持続可能性を確保する姿勢を明確にしました。

 限られた定員や人件費を重点分野へ配分する一方で、時代の要請に応じた戦略的な人材の配置も明記されました。具体的には、経済安全保障やサイバー対策のほか、外交力や防衛力の強化、国土強靱化、外国人政策など、国民の安心・安全や成長に直結する分野へ優先的に人員を振り向けます。既存業務の精査や既存の定員を有効活用しながら、重要課題に対してメリハリのある体制整備を行います。

 行政組織や働き方の見直しも盛り込まれました。府省の枠を超えた機動的な機構・定員の再配置や組織の再編を進めるほか、産前・産後休暇や育児・介護休業を取得しやすい環境整備と代替要員の適切な配置、長時間労働の抑止に取り組みます。さらに、行政DXを担う中核人材の育成や民間人材の機動的な確保、高度な専門性を有する人材や退職自衛官の公的部門での活用など、中長期的な人材確保と能力発揮に向けた施策も盛り込まれました。

 今後は、8月末に各府省からの機構・定員要求が提出された後、秋にかけて内閣人事局による厳しい査定が行われ、年末の令和9年度予算案決定へと進みます。人口減少時代を迎える中で、AIやデジタル技術の導入が実際の現場でどこまで業務効率化につながるか、そして重点分野への人員シフトが行政サービスの維持・向上につながるかが今後の焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)