文部科学省の全国学力・学習状況調査では、国語や英語、算数・数学を通じて「理由や根拠を説明する力」に課題が見られました。夏休みは、家庭で子どもの考える力や伝える力を育む機会としても注目されています。(写真:学習する児童のイメージ)
今回のニュースのポイント
自分の考えは書けても、「どうしてそう考えたの?」と聞かれると説明に苦戦する子どもは少なくありません。文部科学省が公表した全国学力・学習状況調査の分析からは、国語や英語を中心に、子どもたちが「理由や根拠を説明する力」に課題を抱えていることが見えてきました。夏休みは、知識を増やすだけでなく、自分の考えを言葉で伝える力を家庭で育てる絶好の機会になりそうです。
本文
自分の考えは書けても、「どうしてそう考えたの?」と問いかけると子どもが説明に苦戦してしまう――。日常の学習場面で多くの保護者が直面するこの光景は、全国規模の調査でも明確な課題として浮かび上がっています。文部科学省が公表した令和8年度全国学力・学習状況調査の結果分析によると、単に正解や意見を述べるだけでなく、その「理由や根拠を筋道立てて説明する力」に教科を問わず課題が見られることが分かりました。知識を覚えるだけでなく、自分の考えを言葉にして相手に伝える力が、これからの学びにおいて強く求められています。
国語では、「自分の考えを書く力」における課題が示されました。提示された資料や文章から必要な情報を引用し、自分の考えとそれを支える根拠や事例を明確に区別しながら書き表す場面で苦戦する傾向が見られました。単に文章を読んで理解するにとどまらず、「なぜそう考えたのか」を読み手に伝わるように整理し、根拠を示しながら説明する表現力の育成が課題とされています。
同様の傾向は英語の調査結果にも表れています。自分の意見や希望について答えることはできているものの、「その理由まで説明する」設問になると正答率が低下する課題が確認されました。文部科学省の分析では、英語を知識として記憶するだけでなく、読み手や聞き手を意識して理由を添えながら考えを伝える言語活動を意識的に行う重要性が示されています。
また、算数・数学においても、単に計算や答えを求めるだけでなく、自分の考え方や問題解決までの過程を説明する力が重視されていることが示されました。教科は異なっても、頭の中にある思考や判断の理由を、言葉や式・図などを用いて説明する力が共通して問われているといえます。
こうした「思考や理由の言語化」の課題に対し、家庭では何ができるのでしょうか。特別な教材を用意しなくても、日頃のちょっとした関わり方が大切なきっかけになります。子どもが意見や考えを口にした際、「どうしてそう思ったの?」「その理由を教えて」「ほかの考え方はあるかな?」と優しく問いかけることで、日常的に理由を考えて説明する習慣につながります。本を読んだ感想を親子で話し合ったり、ニュースについて意見を交わしたり、夏休みの自由研究で「なぜそう考えたのか」を自分の言葉で書いてみる体験も有効です。今回の調査でも、自分の考えをまとめたり理由を説明したりする学習活動に取り組む児童・生徒ほど、正答率が高い傾向も示されています。
今回の全国学力・学習状況調査が映し出したのは、「知っているか」だけでは測れない学びの変化です。正しい答えを出すことに加え、その理由や根拠を相手に分かりやすく説明する力は、これからの社会を生きる上で欠かせない土台となります。夏休みは、勉強時間をただ増やすだけでなく、「なぜ?」「どうして?」という親子の何気ない会話を増やすことが、子どもの考える力や伝える力を育むきっかけになるかもしれません。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













