運送業の法令違反8割超 厚労省、2024年問題後も長時間労働なお課題

2026年08月06日 20:11

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厚生労働省は、自動車運転者を使用する事業場に対する令和7年(2025年)の監督指導結果を公表した。2024年問題への対応が進む一方、監督対象事業場の81.2%で労働基準関係法令違反が確認された。

今回のニュースのポイント

厚生労働省は、自動車運転者を使用する事業場に対する令和7年(2025年)の労働基準監督署等による監督指導結果を公表しました。監督を実施した4,123事業場のうち、81.2%にあたる3,346事業場で労働基準関係法令違反が確認されました。また、拘束時間や休息期間などを定めた「改善基準告示」の違反も53.1%(2,188事業場)に上っています。2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されたものの、依然として長時間労働や拘束時間を巡る法令違反が多い実態が浮き彫りとなりました。

本文
 厚生労働省がまとめた令和7年(2025年)の「自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導、送検等の状況」によると、全国の労働基準監督署等が労働基準関係法令違反の疑いのある4,123事業場に対して監督指導を行ったところ、全体の81.2%に当たる3,346事業場で何らかの法令違反が認められました。2024年4月から自動車運転者への時間外労働の上限規制(年960時間)や改定された「改善基準告示」が施行され、業界を挙げた働き方改革が進められているものの、依然として8割を超える事業場で法令違反が確認される状況が続いていることが明らかになりました。

■トラックが違反件数最多、タクシーは違反率9割超

 業種別の監督指導状況を見ると、対象事業場数が最も多かったトラック運送業では、監督を行った3,175事業場のうち、80.8%に当たる2,564事業場で労働基準関係法令違反が判明しました。

 その他の業種においても違反率は極めて高く、ハイヤー・タクシーでは監督実施303事業場中274事業場(違反率90.4%)と9割を超えたほか、バス事業で270事業場中204事業場(同75.6%)、自社製品や建設資材を運搬する「その他」の業種でも375事業場中304事業場(同81.1%)で違反が確認されました。自動車運転者を使用する分野で、業種を問わず高い違反率が確認されています。

■違法な長時間労働と「最大拘束時間」オーバーが突出

 具体的な法令違反の内容(複数計上)では、違法な長時間労働を強いる「労働時間」の違反が1,620事業場(39.3%)で最多となり、次いで「割増賃金の支払(未払い残業)」が812事業場(19.7%)、「労働時間の状況の把握」が260事業場(6.3%)と続きました。

 また、自動車運転者の労働条件を細かく定めた「改善基準告示」の違反は全体で2,188事業場(53.1%)に達しました。項目別では、1日当たりの拘束時間を超える「最大拘束時間違反」が1,657事業場(40.2%)で最も多く、次いで勤務間のインターバルを十分に確保できない「休息期間違反」が1,165事業場(28.3%)、月間・年間の「総拘束時間違反」が1,131事業場(27.4%)となりました。さらに「連続運転時間違反(4時間超)」も860事業場(20.9%)で確認されており、ドライバーの過酷な労働環境が浮き彫りとなっています。

■悪質事案の送検は67件へ増加、問われる取引慣行の見直し

 重大・悪質な法令違反により労働基準監督署等が司法処分の判断を下し、検察庁へ送検した件数は67件となりました。送検件数は令和5年の54件、令和6年の59件から3年連続で増加傾向にあります。業種別ではトラックが53件と大半を占め、送検理由(法条文別)では「違法な時間外労働(労基法32条違反)」が19件とトップで、安全基準違反(10件)や最低賃金法違反(8件)が続いています。

 今回の監督結果は、いわゆる「2024年問題」に伴う制度改正がなされてもなお、運送事業者だけで長時間労働の改善を進めることの難しさを示しています。

 一方で厚労省の公表資料では、是正指導を機に改善が進んだ事例も紹介されています。あるトラック事業者では、過密運送の背景に配送ルートや荷降ろし待ち時間などの問題があったため、取引先の荷主企業へ申し入れを行いました。高速道路の利用許可、入場時間の変更、荷降ろし場所での休憩スペース確保といった荷主側の協力を得ることで、違法な長時間労働や拘束時間違反を解消できたとされています。

 ドライバーの健康と持続可能な物流網を維持するためには、運送会社への監督指導にとどまらず、適正な運賃設定や待ち時間の削減など、荷主企業も含めた社会全体での取引慣行の抜本的改革が強く求められています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)