日銀・高田審議委員、原油高による物価上振れを警戒 「二次的波及」に注目

2026年09月02日 16:14

日銀7

日本銀行本店。高田創審議委員は9月2日の講演で、原油高による物価の「二次的波及」に警戒感を示した

今回のニュースのポイント

日本銀行の高田創審議委員は9月2日、札幌市での金融経済懇談会で講演し、中東情勢に伴う原油価格高騰について「二次的波及」のリスクを強調しました。高田氏は1970年代の石油危機を振り返り、第1次危機では物価の二次的波及が混乱を招いた一方、第2次危機ではそれが抑制された歴史的経験を提示。現在の環境における金融・財政、価格転嫁や期待インフレ率の動向を分析しています。また、高田氏自身が7月会合で1.25%への利上げを提案したことに触れ、2026年以降を「機動的に利上げを行う新たな局面」と捉える認識を示しました。

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 日本銀行の政策委員会審議委員である高田創氏は2026年9月2日、札幌市で開かれた金融経済懇談会で「わが国の経済・物価情勢と金融政策」と題して講演を行いました。

 高田氏は、日本経済を取り巻くリスク要因として中東情勢を受けた原油価格の高騰を挙げ、その影響を評価するうえで1970年代の石油危機の経験に言及しました。当時、1973年の第1次石油危機では物価上昇の「二次的波及」が生じて物価の混乱につながったのに対し、1979年からの第2次石油危機では二次的波及が抑制された経緯を整理しました。その違いを生んだ要素として、(1)金融・財政の総需要管理、(2)賃金引き上げ抑制、(3)価格転嫁抑制、(4)省エネなどの行動変容の4点を挙げ、現在の環境と比較しながら、今回の原油高が国内物価へどこまで二次的に波及するかを見極める重要性を指摘しています。

 物価動向のファクトとして高田氏は、2026年7月の国内企業物価指数が前年同月比で+7.2%まで上昇している点を提示しました。川上(生産者段階)から川下(消費者段階)への価格転嫁の広がりに注目するとともに、2022年以降のインフレ経験を経て、企業や家計の間で価格転嫁に対する意識が従来とは大きく変化している点に留意が必要だとしています。また、原油高や足元の為替動向などを背景に中長期のインフレ期待が高まっており、それがさらに物価を押し上げる「上振れリスク」が存在すると分析しています。

 一方で、経済の底堅さを支える要因として高田氏は、高水準な企業収益と前向きな投資動向を挙げました。2023年以降、高水準の賃上げが複数年にわたって続いており、実質賃金についても最近プラスに転じる動きが見られると説明しています。さらに設備投資については、6月の日銀短観や8月公表の日本政策投資銀行の調査を引き合いに出し、製造業でAI(人工知能)・データセンター関連投資が見込まれるほか、非製造業でも電力需要の増加に対応した投資計画が高水準で維持されていると指摘しました。

 金融政策の運営について高田氏は、日銀が2026年6月に政策金利を1.0%程度へ引き上げたことに触れました。また、高田氏自身は7月の金融政策決定会合で1.25%への利上げを提案しています。そのうえで、2024~2025年の緩やかなペースでの利上げ段階を経て、2026年以降は海外動向や国内の経済・物価環境に応じて「一定のペースに囚われず機動的に利上げを行う新たな局面(レジーム転換)」に入ったとの問題意識を述べています。

 原油高という外部ショックが、単なる一時的な輸入コスト上昇にとどまらず、企業の価格転嫁やインフレ期待などを通じて国内物価へどこまで波及していくのか。1970年代との構造的な違いを分析しつつ、物価の上振れリスクを注視する高田氏の認識が示されています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)