家計消費3.6%減でも、国内消費総額は0.6%増 3つの数字が映す消費の現在地

2026年09月04日 12:19

画:取:事前シミュレーションで問題なし 育休明けの職場復帰

7月の消費統計では、家計調査の二人以上世帯が実質3.6%減、CTIの世帯消費動向指数(総世帯)が2.4%減となる一方、国内の世帯全体の消費支出総額を推計する総消費動向指数は0.6%増となった(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

2026年9月4日に公表された7月の消費関連統計では、一見すると方向の異なる数字が並びました。家計調査では二人以上世帯の消費支出が前年同月比で実質3.6%減となった一方、消費動向指数(CTI)の世帯消費動向指数は総世帯で実質2.4%減、さらに国内の世帯全体の消費支出総額を推計する総消費動向指数は実質0.6%増となりました。どの数字が「正しい」のかという疑問に対し、対象と作成方法の違いを整理することで、現在の家計消費の多面的な姿が浮かび上がります。

本文
 総務省が2026年9月4日に公表した7月の消費関連指標では、同じ「消費」に関する統計でありながら、増減の数値や方向性が異なる3つの指標が同時に示されました。

 前年同月比の動き(物価変動の影響を除いた実質)を並べると、家計調査における二人以上世帯の消費支出は3.6%減、消費動向指数(CTI)における「世帯消費動向指数(総世帯)」は2.4%減となったのに対し、同じCTIの「総消費動向指数」は0.6%増となりました。数字だけを比較すると「消費は減っているのか、増えているのか」という疑問が生じますが、これらは同一の対象を同じ方法で測定した数字ではありません。

 まず、実質3.6%減となった家計調査の数字は、二人以上世帯における1世帯当たりの平均消費支出を示したものです。これは日本全体の消費総額が3.6%縮小したことを意味するのではなく、特定の世帯区分における「平均的な支出水準」の前年比です。

 次に、実質2.4%減となったCTIの世帯消費動向指数(総世帯)は、世帯における平均消費支出額を2025年=100として指数化した指標です。CTIは家計調査に加え、「家計消費状況調査」および「家計消費単身モニター調査」の結果を合成して作成されています。家計調査とは対象や作成方法が異なるため、両者の増減率を単純に同一の指標として比較することはできません。

 世帯区分をそろえて比較した場合でも違いが存在します。CTIにおける「二人以上の世帯」の実質増減率は2.2%減となっており、家計調査の二人以上世帯(3.6%減)とは数値が異なります。このように世帯区分をそろえても両者の増減率は一致しておらず、家計調査とCTIでは作成方法が異なる点に注意が必要です。

 ただし、1世帯当たりの動きを捉える指標間には共通点もあります。家計調査の二人以上世帯(3.6%減)、CTIの総世帯(2.4%減)、CTIの二人以上世帯(2.2%減)、CTIの単身世帯(1.6%減)は、いずれも実質で前年同月を下回りました。CTIの総世帯指数は2026年1月(1.7%減)から7月まで7カ月連続で前年割れが続いており、1世帯当たりの実質消費が前年同月を下回っているという方向性は複数の指標で共通しています。

 一方で、これらとは異なり実質0.6%増となったのがCTIの総消費動向指数です。2026年に入り、1月から7月まで前年同月比でのプラス推移が継続しています。

 動きが異なる背景には、推計対象の違いがあります。世帯消費動向指数が1世帯当たりの「平均支出額」を対象とするのに対し、総消費動向指数は時系列回帰モデルを用いて「日本全体の世帯における消費支出総額」を推計しています。世帯消費動向指数と総消費動向指数では推計対象が異なり、総消費動向指数には世帯数の増減等の影響が含まれるため、両指数は異なる動きを示す場合があります。

 作成方法が異なる統計間においても、項目別の動きに共通した傾向が見られる点も特徴的です。CTIの総世帯では食料全体が実質2.6%減となった一方、中分類の「外食」は実質3.6%増(寄与度プラス0.21ポイント)となりました。家計調査の二人以上世帯でも食料全体が実質1.3%減となる中で外食の寄与度はプラス0.31ポイントとなっており、食料全体の落ち込みと外食のプラス寄与という構図は双方の統計で共通しています。

 所得側のデータを確認すると、家計調査における勤労者世帯の7月実収入は実質3.8%減(8カ月ぶりの減少)となり、手取り収入にあたる可処分所得も実質3.1%減少しました。

 7月の消費関連統計から確認できるファクトは、「1世帯当たりの実質消費や勤労者世帯の実質可処分所得が前年割れを示している」一方で、「国内の世帯全体の消費支出総額を推計する総消費動向指数は、実質で前年を0.6%上回っている」という両面性です。

 7月の消費の現在地は、単一の増減率や「強い」「弱い」といった一言の評価だけで表すことは困難です。今後の動向を見極める上では、単一の指標に依存せず、家計の所得変化、1世帯当たりの平均的な支出、そして日本全体の消費総額という異なる層のデータを多面的に観察することが重要となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)