輸入小麦12%値上げ、1トン7万20円へ パン・麺・菓子はどうなる? 農水省「CPI影響0.008%程度」

2026年09月10日 08:06

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農林水産省。2026年10月期の輸入小麦の政府売渡価格は、主要5銘柄の加重平均で1トン当たり7万20円となり、4月期から12.0%引き上げられる

今回のニュースのポイント

農林水産省は9日、2026年10月期の輸入小麦の政府売渡価格を改定し、主要5銘柄の加重平均(税込み)を1トン当たり7万20円とすることを決定しました。4月期の6万2520円から7500円の上昇となり、引き上げ率は12.0%となります。改定対象はパンや中華麺、うどん、菓子等に使われる主要銘柄全体に及びます。ただし、政府売渡価格の12%上昇がそのまま最終食品の12%値上げを意味するわけではありません。農水省の試算によると、製品小売価格に占める原料小麦代金の割合は食パンで約7%、ゆでうどんで約4%、カップ麺で約1%にとどまり、消費者物価指数(CPI)への影響は0.008%程度と試算されています。

本文
 日本の食卓を支える主要原料の価格改定が決定しました。農林水産省は9日、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」に基づき、2026年10月期における輸入小麦の政府売渡価格を改定したと発表しました。主要5銘柄の加重平均価格(税込み)は、2026年4月期の1トン当たり6万2520円から12.0%(7500円)引き上げられ、7万20円となります。

 日本で消費される食糧用小麦は、需要量の8割以上(過去5年平均で年間455万トン)を外国からの輸入に依存しています。政府は国家貿易によって外国産小麦を計画的に輸入し、製粉企業などの需要者へ売り渡しています。今回の政府売渡価格改定は、国内で小麦粉を生産する際の原料価格に関わる変更となります。

 今回の改定対象となる主要5銘柄は、用途ごとに細かく分類されています。カナダ産1CW(主にパン用)、米国産DNS(主にパン・中華麺用)、米国産HRW(主にパン・中華麺用)、豪州産ASW(主に日本麺用)、米国産WW(主に菓子用)が指定されており、これらが製粉加工を経て強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉となり、食パン、中華麺、うどん、カステラやケーキ、ビスケットといった幅広い食品へとつながっていきます。

 もっとも、「原料小麦の売渡価格が12%上がった」からといって、10月から店頭に並ぶ「パンや麺、菓子が直ちに12%値上げされる」ことを意味するわけではありません。

 農水省の公表資料によると、各種小麦関連製品の小売価格に占める「原料小麦代金」の割合は限定的です。具体的には、家庭用薄力粉が約20%、食パンが約7%、ゆでうどんが約4%、即席麺(カップ麺)が約1%、外食の中華そばやうどんが約1%と試算されています。最終的な商品価格には原料小麦代金以外の費用も含まれるため、政府売渡価格の改定率をそのまま商品の値上げ率として当てはめることはできません。

 この原料比率を踏まえ、農水省は今回の政府売渡価格改定が消費者物価指数(CPI)全体に与える影響度について「0.008%程度」と試算しています。したがって、原料改定幅の数字のみを理由として機械的に食品価格の引き上げ幅を算出することはできません。

 今回の12.0%という引き上げの背景には、制度上の買付価格算定ルールと複数の変動要素が存在します。政府売渡価格は、直近6か月間の平均買付価格にマークアップや港湾諸経費を加算して決定されます。

 今回の算定期間(2026年3月第2週〜9月第1週)におけるシカゴ小麦国際相場は、年明けからの米国等での天候懸念を受けて主に1ブッシェル当たり6ドル台で推移し、8月下旬にはロシア・ウクライナ間の緊張激化により一時7ドル台半ばまで上昇しました。

 あわせて、価格算定に用いる為替(対米ドル直物為替TTS)の期間平均は、前回算定期間の1ドル=155.0円から160.9円となり、7月24日には一時165.01円を記録しました。また、2月以降のホルムズ海峡をめぐる緊張の高まりに伴う燃料費や輸送コスト上昇等により、海上運賃の期間平均も1トン当たり50.3ドルから64.9ドルへ上昇しました。今回の算定期間では、小麦の国際価格に加え、為替(TTS)や海上運賃にも前回算定期間からの変化が見られました。

 水準の比較として、今回改定の「1トン当たり7万20円」は、2025年10月期(6万1010円)や2026年4月期(6万2520円)からの上昇となり、2023年4月期(7万6750円)以来の7万円台到達となります。ただし、過去の最高水準である2023年4月期の7万6750円や、2008年10月期の7万6030円には届いていません。また、引き上げ率12.0%についても、過去の2008年4月期(+30%)や2021年10月期(+19.0%)、2022年4月期(+17.3%)と比較して過去最大という規模ではありません。

 10月からの政府売渡価格改定を受け、今後は製粉企業や食品メーカー、外食チェーンなどが各種コストの上昇分をいつ、どの程度製品価格やメニューへ反映させるかという個別企業の価格戦略の動向が注視されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)