トラック運賃、交渉実施90%も「標準的運賃」8割以上の収受は35% 国交省調査

2026年08月26日 16:47

画・生産停止長期化、日野自動車、取引先8500社。自動車部品産業に打撃。

トラック運送事業者の運賃交渉は90%まで広がる一方、「標準的運賃」の8割以上を収受できた事業者は35%にとどまった(写真はイメージ)

今回のニュースのポイント

国土交通省は26日、トラック運送事業者を対象とした「標準的運賃」に関する2025年度の実態調査結果を公表しました。荷主と運賃交渉を行った事業者の割合は90%に達し、前年度から上昇しました。交渉を行った事業者のうち78%が「希望額」または「一部」を収受でき、運賃引き上げの動きが広がっています。一方で、2024年3月に改定された新・標準的運賃の8割以上の水準を実際に収受できた事業者は35%にとどまり、価格交渉の定着と標準水準の確保との間にはなお隔たりが残る実態が浮かび上がりました。

本文
 国土交通省は26日、トラック運送事業者における「標準的運賃」の活用状況や交渉結果をまとめた2025年度の実態調査結果を公表しました。

 標準的運賃は、法令遵守に必要なコストを賄う適正な運賃の目安として、政府が2020年4月に初めて告示しました。さらに2024年3月には、燃料高騰や各種手当の加算などを反映し、運賃水準を平均約8%引き上げる改定が行われました。

 今回の調査によると、荷主に対して新たな運賃の提示や価格交渉を行った事業者の割合は90%に達しました。過去の推移を見ると、2022年度の68%、2023年度の71%、2024年度の74%から拡大しており、トラック業界において価格交渉の取り組み自体が広がりを見せています。

 交渉結果が確認された事業者(915者)における結果を見ると、「希望額を収受できた」が45.1%、「希望額ではないが一部収受できた」が33.1%で、合わせて約78%となりました。国交省は、交渉実施率と合わせると、事業者全体の約70%が運賃交渉について荷主から一定の理解を得たとしています。一方で「収受できなかった」「交渉自体に応じてもらえなかった」との回答は計約6%でした。

 実際に受け取る運賃の額についても引き上げの傾向が見られます。一運行あたりの収受額を前年度と比較した471契約の分析では、「増加」が80%、「増減なし」が19%、「減少」が2%となりました。増加した契約(375件)における増加幅は、「1〜5%」が34%と最も多く、「6〜10%」が29%、「11〜15%」が19%、「20%以上」も13%を占めました。

 しかし、告示された標準的運賃に対する達成度を見ると、水準の確保には課題が残されています。2024年3月改定の標準的運賃と実勢運賃を比較したところ、標準的運賃の「10割以上(同等以上)」を収受できたのは11%、「9割〜8割」は24%で、8割以上を収受できた事業者は計35%にとどまりました。一方で「7割〜5割」が53%、「5割未満」が11%となり、8割未満の事業者が全体の64%を占めています。

 こうした水準にとどまる背景について、標準的運賃の活用における課題(1097者・複数回答)を見ると、「標準的運賃に強制力がない」(752件)や、「標準的運賃の水準が実勢運賃の水準と乖離している」(552件)といった回答が多く寄せられています。また事業者からは、附帯料金への理解や他社との競合による失注リスク、荷主側のコスト負担などを懸念する声も挙がっています。

 また、運賃値上げに伴うドライバーの処遇改善については、運賃値上げを一部でも原資として賃上げを実施した企業が50%となりました。「運賃値上げはなかったが賃上げを実施」は19%、「運賃値上げはあったが賃上げ未実施」は15%でした。原資として賃上げを行った企業の平均賃上げ率は、「5%〜10%未満」が39%で最多となりました。

 今回の調査結果は、交渉を行う環境が改善し、実際の収受額も増加傾向にある一方で、告示された標準的運賃に近い水準を収受できている事業者は限られている現状を示しています。なお、国土交通省は、2025年度調査について過去調査と比べサンプル数が少なく回答者の属性も異なるため、過去調査との単純な数値比較には一定の留保が必要としています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)