全国地価5年連続上昇、商業地2.9% 地域・用途で異なる上昇の現在地

2026年09月16日 10:30

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2026年都道府県地価調査では、全国平均の地価が5年連続で上昇。東京圏では住宅地が前年比4.0%、商業地が8.9%上昇し、東京都港区の住宅地平均は16.6%上昇した(写真は東京都心)

今回のニュースのポイント

国土交通省が9月16日に発表した2026年都道府県地価調査(7月1日時点、全国2万1466地点)によると、全国平均の変動率は住宅地が前年比1.0%上昇、商業地が2.9%上昇、工業地が3.3%上昇となり、住宅地や商業地などは5年連続で上昇しました。住宅地の上昇率は前年と同水準だった一方、商業地は前年の2.8%から2.9%へ拡大しました。ただし、全国平均の数字の内側では、三大都市圏ごとの強弱や地方圏内の二極化、特定需要を集める個別地点の突出など、地域や用途による動きの違いがより鮮明になっています。

本文
 国土交通省が2026年9月16日に発表した2026年都道府県地価調査(2025年7月1日からの1年間における地価動向、2026年7月1日時点の価格)によると、全国平均の全用途平均は2.1%上昇し、5年連続のプラスとなりました。住宅地が前年比1.0%上昇(前年1.0%上昇)、商業地が2.9%上昇(前年2.8%上昇)となり、商業地で拡大傾向が続いています。

 三大都市圏の動きをみると、東京圏と大阪圏で上昇幅が拡大したのに対し、名古屋圏では縮小する動きがみられました。東京圏は住宅地が前年の3.9%から4.0%、商業地が8.7%から8.9%へと拡大しました。大阪圏も住宅地が2.2%から2.3%、商業地が6.4%から6.8%へ伸びを高めています。一方、名古屋圏は住宅地が前年の1.7%から1.5%、商業地が2.8%から2.7%へと上昇幅が縮小しました。工業地については、東京圏が前年の6.7%から6.4%へ縮小した一方、大阪圏は6.8%から7.4%、名古屋圏は2.5%から3.3%へ上昇率が高まりました。

 地方圏(全用途平均1.2%上昇)においては、都市規模による変化が確認できます。札幌市、仙台市、広島市、福岡市の「地方四市」では、住宅地が前年の4.1%から2.9%、商業地が7.3%から6.0%、工業地が10.7%から9.3%へ、すべての用途で上昇幅が縮小しました。これに対し、地方四市を除く「その他」の地域では、住宅地は前年と同じ0.0%にとどまったものの、商業地が前年の0.6%から0.7%へ拡大しました。地方圏の地価動向は一様ではなく、地方四市で上昇幅が縮小する一方、地方四市を除く「その他」の地域では商業地の上昇幅が拡大するなど、地域によって異なる動きがみられます。

 全国の個別地点に目を転じると、突出した上昇率を示すエリアが浮き彫りになります。商業地の全国上昇率1位となったのは北海道千歳市の「千歳5-3」で、1平方メートル当たりの価格が前年の17万円から24万5000円へ44.1%上昇(前年は42.9%上昇)しました。商業地2位も千歳市の地点(38.5%上昇)、4位も千歳市の地点(34.4%上昇)が占め、千歳市全体の商業地平均変動率も29.7%上昇という極めて高い水準となっています。

 千歳市における著しい地価上昇について国土交通省は、大手半導体メーカーのラピダスが2025年4月に試作ラインの稼働を開始したことを背景として挙げ、工場の進出を契機に賃貸マンション用地をはじめ、事務所、ホテル、店舗用地への需要が非常に旺盛になっていることが要因であると説明しています。

 住宅地の全国上昇率1位は、長野県白馬村の「白馬-1」で、1平方メートル当たり2万600円から2万7400円へ33.0%上昇(前年は29.6%上昇)しました。住宅地2位には北海道富良野市の地点(30.0%上昇)、3位には長野県野沢温泉村の地点(22.3%上昇)が入っています。白馬村の住宅地平均変動率も22.8%上昇となりました。国土交通省は白馬村について、国内富裕層や外国人による別荘・コンドミニアム需要が旺盛で、国内外から資本が流入している状況にあると解説しています。また商業地においても、観光客数の増加に伴うホテル・店舗需要の強さが地価を押し上げているとしています。

 大都市中心部では、居住・商業需要の濃密な集積を反映した価格形成が続いています。東京都港区では住宅地の平均変動率が16.6%上昇を記録し、東京23区で最も高い上昇率となりました。国土交通省は、再開発の進行とともに国際都市としての魅力が高まるなか、港区では高級分譲マンション用地の希少性が極めて高く需要も旺盛であるとしています。住宅地の全国最高価格地点である港区赤坂の「港-4」は、1平方メートル当たり前年の590万円から711万円へ20.5%上昇しました。

 一方、商業地の全国最高価格地点は東京都中央区銀座の「中央5-22」で、1平方メートル当たり6710万円(前年6050万円、前年比10.9%上昇)となりました。国土交通省は価格形成の要因として、希少性が極めて高い中央通り沿いにおいて、富裕層やインバウンド(訪日外国人旅行者)による高額品の消費が旺盛であることや、ブランド店舗の強い出店需要が存在していることを挙げています。また、大阪・ミナミの中心地である大阪市中央区道頓堀の「大阪中央5-19」も25.0%上昇(前年22.6%上昇)で商業地全国8位に入りました。国土交通省は大阪市中央区について、国内外の来街者数増加や旺盛な消費活動による店舗の収益性高まりを背景に、強い店舗需要が継続していると説明しています。

 2026年の都道府県地価調査は、全国平均で5年連続の上昇を観測したものの、その内訳をみると、三大都市圏の間でも上昇幅の動きに差があり、地方四市では伸びが鈍化しました。一方、千歳市や白馬村、東京都心など、特定の需要を集める地域では高い上昇率を示しており、地域や用途による地価動向の違いが鮮明になっています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)