20万行超のCOBOLをAIが解析 AWSとCognition、8カ月想定の改修を8日に

2026年09月16日 08:06

コードを書く人イメージ

プログラムコードを扱うエンジニアのイメージ。AWSとCognitionは、自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」を活用した複数年の戦略的協業を発表した。Mercedes-Benzの事例では、Devinが20万行を超えるCOBOLコードを解析し、推定8カ月のモダナイゼーション・プロジェクトを8日間に短縮したとしている。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

Amazon Web Services(AWS)とAI企業Cognitionは9月15日、自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」を活用した既存システムのモダナイゼーション(現代化)等に関する複数年の戦略的協業契約を締結したと発表しました。AWSが公表したMercedes-Benzの導入事例では、Devinが20万行を超えるCOBOLコードを解析し、従来は推定8カ月を要するとされたモダナイゼーション・プロジェクトを8日間で実施したとしています。また、別の自動車メーカーの事例では2万5000行のCOBOLワークフローの移行により推定コストが73%低くなったとしています。

本文
 クラウドサービス大手のAmazon Web Services(AWS)と、自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」を手がけるCognitionは2026年9月15日、企業における既存システムの移行や開発の効率化に向けた複数年の戦略的協業契約を締結したと発表しました。

 両社の協業では、単なる新規プログラムのコード生成にとどまらず、企業が長年運用してきた基幹システムの解析やクラウド環境への移行(モダナイゼーション)工程へAIエージェントを適用することを主要な目的に掲げています。

■20万行超のCOBOL、8カ月想定のプロジェクトを8日に

 多くの企業では、長期間稼働してきた基幹システムに過去のプログラミング言語や複雑化したコードが残り、システム改修やクラウド移行への負担となっています。

 AWSによると、ドイツの自動車大手Mercedes-BenzではDevinが20万行を超えるCOBOLコードを解析し、推定8カ月のモダナイゼーション・プロジェクトを8日間に短縮したとしています。なお、これはMercedes-Benzの特定事例としてAWSが紹介したもので、8カ月は実際に要した過去実績ではなく推定期間です。

■AIが既存システムを解析し新コードを作成、人間がレビュー

 Devinの適用工程について、AWSとCognitionは既存システムを解析してその仕様を把握し、同じ機能を実現する新たなコードを作成した上で、既知の出力と照合して新システムの動作を検証する使い方を想定しています。

 開発の意思決定や人間による要件定義に基づきAIが作業を実行し、その成果物をエンジニアがレビュー・確認する役割分担となります。両社はこの協業を通じ、従来は年単位を要する場合もあった大規模な既存システムのモダナイゼーションを月単位へ短縮することを目指すとしています。

■別の自動車メーカーでは2万5000行の移行で推定コスト73%低下

 AWSは別の世界的大手自動車メーカーにおける実績数値も公表しています。この事例では、Devinが2万5000行のCOBOLワークフローを分析し、メインフレームからサーバーレス実行環境である「AWS Lambda」へ移行しました。

 AWSによると、この移行ではコストが推定73%低くなったとしています。ただし、今回の発表では比較条件の詳細は示されておらず、全てのシステム移行において一律に適用されるものではありません。

■企業のコードやデータ、専用環境で処理

 企業が自社のソースコードや業務データをAIに処理させる際のセキュリティ対策として、両社はDevinをAWS上のシングルテナント環境で提供します。

 利用企業は自社のデータや組織内の知識を専用の仮想プライベートクラウド(VPC)内に保持し、Devinを実行するAWSリージョンを指定できます。また、Devinの各セッションは独立した仮想マシンで実行され、セッション終了時に破棄される仕組みとするほか、監査ログ用APIも用意されます。

 AWSとCognitionの協業は、生成AIの用途を単なる開発補助から、既存システムの解析やクラウド移行へと広げる取り組みを示しています。Mercedes-Benzでの20万行超の解析事例は特定の環境下での成果であり、今後は多種多様な基幹システムにおいてAIによるモダナイゼーションがどの程度の実効性を持つかが確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)