三菱電機、熱交換器の冷媒使用量を3分の1に 伝熱性能は従来比3倍

2026年09月15日 08:39

ヒートポンプイメージ

ヒートポンプ技術をイメージした熱交換・空調設備。三菱電機は、同社従来品比で約3倍の伝熱性能を持つプレート熱交換器を開発し、熱交換器内部の冷媒使用量を従来の約3分の1に削減できるとしている。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

三菱電機は9月14日、ヒートポンプ式冷熱機器向けに、同社従来品比で約3倍の伝熱性能を持つプレート熱交換器を開発したと発表しました。伝熱性能の向上により熱交換器を構成するプレートの層数を減らせるため、熱交換器内部で使用する冷媒量を従来の約3分の1に削減できるとしています。定置のヒートポンプ式冷熱機器において「業界最高水準」としており、これは2026年9月14日時点の同社調べによるものです。

本文
 三菱電機は2026年9月14日、ヒートポンプ式冷熱機器向けとして、従来の定置空調用プレート熱交換器と比較して約3倍の伝熱性能を実現した新たなプレート熱交換器を開発したと発表しました。

 プレート熱交換器は、冷媒と水などの流体の間で熱を移動させる中核部品です。今回の開発品では、プレートに溝を設けて積層する従来の構造に対し、平板状のプレートとプレートの間に、伝熱を促進する微細な「オフセットフィン(波形構造を隣接する列で流れ方向にずらして配置する構造)」を高密度に配置した構造を採用しました。伝熱性能が約3倍に高まることで必要なプレートの層数を削減できるため、熱交換器内部の冷媒使用量を従来の約3分の1に削減することが可能になります。

 これまで微細なオフセットフィンを実装した構造では、ヒートポンプ内で気体と液体が混在する「気液二相」となった冷媒がプレート全域に均一に行き渡らず、一部に偏流してしまう課題がありました。これに対し三菱電機は、流体の流出入部に液分布の均一化を促す「分配流路」を新たに設置しました。独自の解析技術を用いてフィン間を流れる気液二相冷媒の複雑な流れをシミュレーションし、分配流路の位置を最適化することで、プレート幅方向へ液冷媒を広げ、全面で熱交換を行わせることに成功しました。

 本技術開発の背景には、グローバルな冷媒規制の強化があります。三菱電機によると、R32などの次世代冷媒は地球温暖化係数が低い一方、多くが可燃性を有しており、万が一の漏洩に備えて安全性を確保するためにも、冷媒使用量を最小限に抑える必要があるとしています。同社は、伝熱性能を高めて熱交換器内部の冷媒使用量を抑えることで、環境負荷低減と安全性向上の両立に貢献するとしています。

 三菱電機は今後、本技術について水を用いる業務用・家庭用の冷熱機器や空調機にとどまらず、電気自動車(EV)などで水や冷却液を用いるヒートポンプシステムなど、幅広い製品への適用を進める方針です。高い伝熱性能と冷媒削減効果を持つ本構造が、将来的にどのような製品群へ実装されていくかが注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)