欧州Axelera AI、629TOPSの「Europa」搭載製品を出荷 Dell・Supermicroで検証済み

2026年09月16日 14:57

データセンターの半導体

AI推論処理を担う半導体とサーバーのイメージ。Axelera AIは、1基当たり629TOPSの演算性能を掲げる「Europa」搭載製品の出荷を開始し、企業サーバーなどへのAI推論環境の展開を進める(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

オランダのAI半導体企業Axelera AIは9月15日、次世代AI Processing Unit(AIPU)「Europa」を搭載した製品の正式投入および出荷開始を発表しました。Europaは2025年10月にアーキテクチャが発表されており、今回、搭載製品の出荷開始が発表されました。1基あたり629TOPSの演算性能を備え、従来のエッジAI領域から、企業サーバーなどでのAI推論処理へ対応領域を広げます。Dell TechnologiesやSupermicroなどの検証済みシステムを通じて展開されます。

本文
 オランダのAI半導体企業Axelera AIは2026年9月15日、同社の次世代AI Processing Unit(AIPU)「Europa」を搭載した製品を正式に投入し、出荷を開始したと発表しました。2025年10月にアーキテクチャが発表されていたEuropaについて、今回、Europa搭載製品の出荷開始が発表されました。同社は従来のエッジAI領域にとどまらず、企業内サーバーやデータセンターでのAI推論処理への対応を進めています。

 EuropaはAI推論向けのアクセラレーターで、1基当たり629TOPSの演算性能を掲げます。1基につき第2世代AI処理コア8基とRISC-Vベクトル処理コア16基を統合した設計となっており、INT4、INT8、INT16といった精度の演算に対応します。128MBのL2 SRAMと200GB/秒のDRAM帯域幅を備え、Europa AIPU単体について同社はTDP(熱設計電力)を45Wとしています。また、前処理・後処理機能やビデオデコーダーをチップ上に搭載することで、CPU側の処理負荷の一部を軽減する設計としています。対象とする使途は生成AIのみならず、エージェント型AI、画像と言語を統合処理するVLM(ビジョン・ランゲージ・モデル)、コンピュータービジョン、ロボット制御など多岐にわたります。

 Europa搭載製品は、顧客が独自ボードを設計するチップ形態のほか、標準的なPCIeフォームファクターを採用したカード形態でも展開されます。「Axelera Edge 232p」はEuropaを1基搭載したハーフハイト・ハーフレングス形態の製品です。一方、Europaを4基搭載したフルハイト・フルレングス形状の「Axelera Server 250p」は、同社の技術資料によると2500TOPSを超える演算性能を提供するとしています。同社は、標準的なPCIeフォームファクターを採用したことで、企業がAI専用にインフラ全体を作り直すことなく、既存のPCIe対応サーバー環境へAI推論能力を拡張できるとしています。

 システム環境の構築においては、Edge 232pについて「Dell XE5」や「Supermicro 111AD」での検証済みシステムが用意されているほか、HPE、Lenovo、Advantech、2CRSiなどのOEM各社とも連携したエコシステムが展開されます。特にDell Technologiesは、システムインテグレーターのE4およびAxelera AIとともに、イタリアとルクセンブルクで進められている「EU AI Factories」プロジェクト向けの次世代AIインフラ展開を支援するとしています。Axelera AIによると、自社製品の導入企業は世界600社を超え、商談段階を含むセールスパイプラインは15億ドル以上に達したとしていますが、これは確定受注額や確定売上高を示すものではありません。

 製品の処理効率に関して同社は、Edge 232pについて、GPUベースの競合製品と比較して1ワット当たりの生成速度(tokens per second per watt)が最大6倍になるとしています。ただし、この数値は独立した第三者機関による評価ではなく、Axelera AI内部での測定結果と競合プラットフォームの公表数値を比較した同社独自の試算値です。製品ページ等で掲げられている「性能対コスト比3〜5倍」「電力効率2〜3倍」という指標についても同様に、メーカー側の主張として取り扱う必要があります。

 欧州企業が開発するEuropaは、AI推論向けアクセラレーターとして、企業サーバーやロボットなど幅広い用途を対象としています。エッジ向けから企業サーバーへと製品レンジを拡大させたAxelera AIは、DellやSupermicroといった既存の主要サーバーインフラとの適合を進めており、欧州でのEU AI Factories支援などデジタル自律に向けた取り組みとも連動しながら、AI計算基盤における選択肢の拡大を目指しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)