カナダ、全国の掘削コアをデジタル化 AI活用へ実物試料のスキャン開始

2026年09月22日 10:43

カナダ岩石スキャンイメージ

カナダは、各地に保存されてきた掘削コアをスキャンし、AIなどで利用可能な地質データへ変換する「Canadian Digital Core Library(CDCL)」を推進。9月14日にはCDCLとして最初のコアスキャンが始まり、物理試料のデジタル化が実作業段階に入った。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

カナダ天然資源省は9月21日、全国各地で保管されてきた掘削コア(ボーリング調査で採取した円柱状の岩石試料)をデジタル化し、共通のデータ基盤を構築する「Canadian Digital Core Library(CDCL)」において、実物試料のデジタルスキャン作業を開始したと発表しました。CDCLとしての最初のスキャンは9月14日にアルバータ州カルガリーで実施され、ノースウエスト準州のコア試料から着手されました。併せて、サスカチュワン州のデジタル・コアライブラリー構築に向け、連邦政府から216万加ドル(約2億3000万円)を支援することも公表されました。

本文
 カナダ政府は9月21日、国内各地の地質調査や過去の鉱物探査で蓄積されてきた物理的な岩石試料をデジタルデータへと変換する全国的な取り組み「Canadian Digital Core Library(CDCL)」において、実物コアのスキャン作業を正式に開始したと発表しました。今回の発表は、概念や計画の策定にとどまらず、倉庫や保管施設に眠っていた物理的な地質試料を、AI(人工知能)などで利用可能な全国共通のデータ資産へと移行させる実作業段階へ入ったことを示しています。

 掘削コアとは、地下資源探査の過程でボーリング機器を用いて地表下から円柱状にくり抜いて採取された岩石試料のことです。地下の地質構造や含まれる鉱物組成を示す直接的なデータ源であり、カナダでは各州・準州の保管施設だけで約500万メートル(カナダ地質調査所保有分でさらに8万メートル超)に及ぶ大量の掘削コアが保存されています。CDCL構想は、これらの物理的な試料を高度なスキャン技術でデジタル化し、全国で検索・分析が可能なデジタル地質データベースとして再構築する取り組みです。

 計画の進捗を示す具体的実績として、9月14日にアルバータ州カルガリーの施設においてCDCLとして最初のコアスキャンが実施されました。対象となったのはノースウエスト準州で採取・保管されていたコア試料です。カナダ政府によると、連邦政府はすでに10州・準州との間で本データ基盤への参加に関する覚書(MOU)を締結しており、他の参加地域についても今後数週間以内にスキャン作業に向けた準備が進められる予定です。

 本プロジェクトに対する資金支援も進められています。今回新たに発表されたのは、サスカチュワン州が全国システムと互換性を持つ独自のデジタル・コアライブラリーを整備するための資金216万加ドルです。連邦政府はCDCLの推進に向け、全国デジタルプラットフォームの開発支援として「Creative Destruction Lab」に対し最大1500万加ドルを拠出する方針を示すなど、基盤構築に向けた資金拠出を進めています。

 デジタル化された地質データは、将来的にAIや高度なデータ解析技術を用いた重要鉱物(クリティカル・ミネラル)の探査に活用できる環境を整える計画です。過去の地質データを共有・分析可能にすることで、探査リスクの低減や投資促進につなげる目的が掲げられています。ただし、今回の発表はデータ基盤の作成に着手した段階であり、AI解析による鉱床の新規発見や開発期間短縮といった直接的な成果が確認されたわけではありません。

 重要鉱物の供給網強化において、今回の取り組みは新たな鉱山建設や直接的な採掘機器への投資ではなく、地下情報の資産化を図るデータインフラ整備に位置づけられます。9月14日にCDCLとして最初のコアスキャンが始まり、過去の探査で蓄積された物理試料を全国共通のデジタルデータへ変換する作業が実施段階に入りました。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)