Form Energy、2.7億ドルの信用枠確保 鉄空気電池を増産、最大10億ドルに拡張可能

2026年09月22日 15:12

蓄電システム工場イメージ

米Form Energyは、2億7000万ドルの信用枠を確保し、ウェストバージニア州の製造拠点で鉄空気電池の製造規模を拡大する。信用枠には45X先端製造業生産税額控除を活用した融資枠が含まれ、全体で最大10億ドルまで拡張できる仕組みも設定されている。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

米新興蓄電池メーカーのForm Energyは9月21日、総額2億7000万ドル(約420億円)の信用枠(デット・ファシリティ)の契約手続きを完了(クローズ)したと発表しました。資金はウェストバージニア州ウィアトンにある製造拠点「Form Factory 1」での鉄空気電池の製造規模拡大や運転資金等に充てられます。今回の信用枠には米国の45X(先端製造業生産税額控除)を活用した資金供給スキームが組み込まれており、デット・ファシリティ全体で最大10億ドルまで信用供与額を拡張できる機能が設定されています。

本文
 米国の長時間蓄電技術開発企業であるForm Energy(フォーム・エナジー)は9月21日、2億7000万ドルの信用枠(credit facility)を確保したと発表しました。今回の資金調達は工場建設のための直接投資や社債発行ではなく、複数の融資枠からなるデット・ファイナンス構造となります。調達した資金は、同社がウェストバージニア州ウィアトンに保有する既存の製造拠点「Form Factory 1」における製造規模の拡大および運転資金等に充当されます。

 Form Energyが製造する主力製品は、鉄、水、空気の可逆的化学反応を利用して充放電を行う「鉄空気電池(iron-air battery)」です。一般的なリチウムイオン電池と異なり、最大100時間のエネルギー貯蔵・放電が可能な長時間蓄電システムとして設計・開発が進められています。今回の信用枠確保は、新規工場の建設計画発表ではなく、すでに稼働しているForm Factory 1における製造規模の拡大や運転資金需要に対応するための資金調達となります。

 本案件の金融面での最大の特徴は、米国の「Section 45X(先端製造業生産税額控除)」を活用した融資構造にあります。信用枠の中には、45X税額控除の対象部品の生産によって生じる税額控除を対象に資金を前倒しで供給できる融資枠が組み込まれています。これは政府による直接融資ではなく、対象部品の生産によって生じる45X税額控除を活用した民間金融機関による融資枠です。さらに本ファシリティには、全体の信用供与額を最大10億ドルまで拡張できるアコーディオン機能(accordion feature)が付帯しています。

 同社は資本調達を連続して実施しています。2026年8月には7億5000万ドルのシリーズG(株式)調達を完了しており、これまでの累計エクイティ調達額は20億ドルを超えています。今回のデット調達には主幹事を務めるBarclaysをはじめとする大手金融機関のシンジケートが参加しており、エクイティ(株式)とデット(負債)の双方を組み合わせた資金調達体制を構築しています。

 最大100時間クラスの長時間蓄電システムの量産化に向け、製造業向け税額控除を資金調達スキームへ組み込む構造が示されました。2億7000万ドルの信用枠確保、既存工場の製造規模拡大、45X税額控除の融資活用、最大10億ドルへの拡張余地という軸を中心に、製造基盤の拡張が進められています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)