米NETL、既存井戸活用し重要鉱物回収へ 「外科的採掘」を研究

2026年09月24日 08:29

採掘リグイメージ

米国立エネルギー技術研究所(NETL)は、地下深部から重要鉱物・重要材料を回収する原位置回収(ISR)技術を研究。既存の石油・天然ガス井を反応流体の注入や回収に活用する可能性も検討している。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

米エネルギー省傘下の国立エネルギー技術研究所(NETL)は9月23日、国内における重要鉱物・重要材料(CMM)の供給拡大に向け、地下から鉱物を回収する原位置回収(ISR)技術の研究を進めていると発表しました。本技術は地表からの大規模な掘削や露天掘りを伴わず、地層へ流体を注入して目的物質を溶出・回収する「外科的採掘(Surgical Mining)」と呼ばれる手法です。既存の石油・天然ガス井についても、反応流体の注入や回収に活用できる可能性を評価しています。ウェストバージニア州の地下約2.4キロから採取したシェール層のコア試料分析では、クロムやセリウムなどの元素濃度上昇が確認されています。

本文
 米エネルギー省(DOE)傘下の国立エネルギー技術研究所(NETL)は9月23日、ハイテク産業やエネルギー分野に不可欠な重要鉱物・重要材料(CMM)の国内供給体制を強化するため、地下深部から鉱物を回収する原位置回収(ISR)技術の研究評価を進めていると発表しました。NETLは本手法を大規模な地表掘削や坑道建設を伴わない「外科的採掘(Surgical Mining)」と位置付け、環境負荷を抑えつつ新たな資源供給経路を開拓するアプローチとして評価しています。また、既存の石油・天然ガス井についても、反応流体の注入や回収へ活用できる可能性を含めて検討を進めています。

 この手法では、井戸などを通じて地下の鉱物を含む地層へ反応流体を注入し、目的とする鉱物成分を化学的に溶出させたうえで、地上へ流体ごと引き揚げて分離・回収します。具体的な研究対象として、NETLはウェストバージニア州コア近郊のボギス(Boggess)サイトにおいて、深さ7,920.25フィート(約2,414メートル)の地下から採取されたマーセラス・シェールのコア試料を分析しました。予備分析の結果、クロム、ストロンチウム、バリウム、セリウム、ネオジムなどの重要鉱物の濃度上昇が確認されました。

 NETLは地下深部からの効率的な回収に向け、複数の先進技術を評価しています。反応流体による地球化学的な抽出に加え、微生物を利用した生物学的抽出、マイクロ波照射によって岩石内部に微細な亀裂を形成し、より低濃度の酸や浸出剤による回収を可能にする方法などが検討対象です。さらに、回収された流体から目的の金属を選択的に取り出すため、キレート剤や吸着材の開発も研究対象となっています。

 NETLは数十年にわたるシェールの地球化学や地下特性の研究を通じ、地下の物理・化学特性に関するデータを蓄積してきました。今回の研究では、こうした石油・天然ガス開発で得た知見を重要鉱物資源の評価や回収技術の開発に応用するとともに、既存の石油・ガス井を活用する可能性も検討しています。ただし、今回の発表はコア試料の予備分析と技術アプローチの評価段階であり、特定の採掘事業の開始を示すものではありません。今後は、地下条件に応じた抽出技術の有効性や、目的物質を選択的に回収する技術の検証が確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)