加オンタリオ州、9.92億加ドルの銅・パラジウム事業 処理施設に4.1億加ドル

2026年09月19日 08:22

採掘現場イメージ

ジェネレーション・マイニングがカナダ・オンタリオ州北西部で進めるマラソン銅・パラジウム・プロジェクトは、総額9億9200万カナダドルの設備投資を計画。13年間で銅約5億3200万ポンド、パラジウム約216万1000オンスなどの生産を見込む。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

カナダ・オンタリオ州の投資誘致機関Invest Ontarioは、カナダのジェネレーション・マイニング(Generation Mining)が同州北西部で進める「マラソン(Marathon)銅・パラジウム・プロジェクト」に対し、重要鉱物処理施設の建設支援を行うと発表しました。プロジェクト全体の設備投資額は9億9200万カナダドルで、このうち処理施設に4億1000万カナダドルが充てられます。Invest Ontarioは最大1100万カナダドルの条件付き融資支援を行う方針です。鉱物資源の採掘にとどまらず、州内での処理・加工能力を一体で強化する大型産業投資となります。

本文
 カナダ・オンタリオ州の政府系投資誘致機関であるInvest Ontarioは18日、探鉱・開発企業のジェネレーション・マイニングが同州北西部のマラソン近郊で進める「マラソン銅・パラジウム・プロジェクト」について、重要鉱物の処理施設建設に向けた支援を行うと発表しました。

 本プロジェクトは、すでに必要な許認可をすべて取得済みであり、建設準備段階(construction-ready)にあります。鉱山寿命は13年間を想定しています。2024年11月1日を基準日とする実現可能性調査(Feasibility Study)によると、13年間の操業期間中に見込まれる支払対象金属の累計生産見通しは、銅が約5億3200万ポンド(約24万1300トン)、パラジウムが約216万1000オンス(約67.2トン)に達します。また、プラチナ約48万8000オンス、金約16万オンス、銀約305万1000オンスの生産も見込まれています。これらは将来の事業計画に基づく試算であり、確定的な既成事実ではありません。

 今回の発表で大きな主軸となっているのが、採掘事業そのものに加えて、採掘した鉱石を現地で処理する能力を確保する点です。プロジェクト全体の初期設備投資額9億9200万カナダドルのうち、4億1000万カナダドルが鉱石処理施設の建設に投じられます。全体投資額に対する処理施設の比率は約41%(編集部による単純計算)を占めており、鉱山開発と処理プラントを一体で整備する計画です。処理施設では同州内で採掘された鉱物を処理し、カナダや世界の製造業者などで利用される材料を生産する計画です。

 オンタリオ州政府は、州内で採掘された重要鉱物について、州内での処理・精製能力を拡大し、製造業などのサプライチェーンにつなげる産業政策を進めています。

 この政策方針に基づき、Invest Ontarioは「重要鉱物処理基金(Critical Minerals Processing Fund)」を通じて、最大1100万カナダドルの条件付き融資支援を行う方針です。プロジェクト全体の資金規模は9億9200万カナダドルであり、今回の州政府側による直接的な支援枠は最大1100万カナダドルとなります。ジェネレーション・マイニングによると、同社は州政府と最大1100万カナダドルの融資に関する法的拘束力のない条件概要書(non-binding term sheet)に合意しており、融資の実行には最終契約の締結が必要となります。支援の原資となる重要鉱物処理基金は2025年12月に創設された5億カナダドル規模の支援制度であり、重要鉱物の処理・加工能力を同州内に引き留め、拡大することを目的としています。

 雇用面においても事業拡大に伴う見通しが提示されています。プロジェクトが本格的な操業段階に入った場合、現地で450人超の直接雇用の創出が見込まれています。内訳は鉱山現場で約350人、処理施設で100人超と見込まれているほか、建設段階においても約800人の雇用機会が見込まれています。これらについても今後の事業進捗に伴う予測数値となります。

 オンタリオ州はニッケル、銅、白金族金属(PGM)などの豊富な地下資源を有していますが、州政府は単なる鉱山開発の域を超え、採掘・処理・製造を一体化したエコシステムの構築を目指しています。銅は電気自動車や送電網などで利用され、パラジウムは排ガス浄化用触媒などで需要を有します。

 重要鉱物の安定調達をめぐる国際的な関心が高まる中、採掘の権利確保だけでなく、採掘後の処理・精製機能をどの地域に保持するかが産業上の焦点となっています。9億9200万カナダドルを投じる鉱山開発と、4億1000万カナダドルの処理施設整備を一体で進める本計画について、実際の建設段階へ移行するための資金調達や建設工程、操業開始に向けた進展が注視されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)