日本生命、1.3万議案規模の議決権行使にAI 精査対象と判断根拠の確認を支援

2026年09月28日 16:36

日本生命イメージ

約1万3000議案規模の議決権行使で、AIエージェントが精査対象の抽出や判断根拠の確認を支援。最終的な賛否は日本生命の担当者が判断する(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

日本生命保険は9月28日、金融AI開発のAlpacaTechと共同開発した議決権行使業務支援AIエージェントシステム「VotePilot」を活用すると発表しました。日本生命が保有する株式の議決権行使業務へAIを本格的に活用するのは今回が初となります。同社が2025年7月~2026年6月に行使した上場企業の議案数は年間約1万3000件に上り、従来は複数の担当者が1社ずつ手作業で株主総会招集通知などを読み込んで行っていた「精査対象議案の抽出・根拠確認」をAIで支援します。最終的な賛否の判断自体はAIへ委ねず、日本生命側が企業との対話を踏まえて行う従来の決定プロセスを維持します。

本文
 日本生命保険は9月28日、AlpacaTech(アルパカテック)と共同で、機関投資家向けの議決権行使業務支援AIエージェントシステム「VotePilot(ボートパイロット)」を開発し、自社の議決権行使業務に活用すると発表しました。日本生命が自社の資産運用における議決権行使業務にAIを活用することは初の取り組みで、AlpacaTechにとっても国内機関投資家に対する同業務のAI支援としては初の事例となります。

 日本生命は保有するすべての株式について、外部の行使助言会社に依存せず自社の判断で議決権を行使しています。独自の精査要領に基づき、定量・客観的なスクリーニングを行ったうえで基準に抵触した議案を「精査対象議案」として抽出し、企業との対話などを経て賛否を判断するプロセスを運用しています。同社が2025年7月~2026年6月期に行使した上場企業の議案数は約1万3000件に達しており、特に精査対象議案の抽出工程では、複数の担当者が1社ごとに招集通知や関連開示書類の原本を読み込んで判断根拠を特定する必要がありました。

 今回共同開発した「VotePilot」は、株主総会の招集通知などの開示文書を読み込み、議案内容や関連ページ、判断に必要な根拠情報を自動整理します。日本生命の精査要領に定められた判定基準を個別の判定フローチャートへ分解し、AIエージェントがそのフローに沿って各議案に対する精査の要否を順次一次判定します。さらに、精査が必要と判定した理由を文章で詳細に表示するだけでなく、判断根拠となった原本書類の該当箇所を画面上に指定して表示する機能を備えています。担当者はAIの回答文だけでなく一次情報へ直接戻って確認できる仕様となっています。

 今回のシステム導入の目的は、議決権の賛否判断そのものをAIへ委ねることではありません。日本生命は精査対象となった議案に対して一律に賛否を結論づけるのではなく、企業との対話などを通じて個別事情を把握した上で、自ら賛否を決めるスタンスを維持します。書類読み込みや抽出にかかる時間を削減し、浮いた時間を精査対象議案の詳細な検討や企業との直接の対話へ振り向ける考えです。

 今回の取り組みは、機関投資家による保有株式の議決権行使という資産運用実務にAIエージェントを活用する事例となります。年間1万3000件規模の大量の議案を処理する初期工程をAIで効率化し、人間は判断根拠の確認と投資先企業との対話へ集中する役割分担の構築が進められています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)