今回のニュースのポイント
韓国のLGエレクトロニクス(LG Electronics USA)は10月5日、米国のHVAC(暖房・換気・空調)ソリューション企業AIR Control Concepts社と、北米におけるAIデータセンター向けチラー(冷却設備)の長期供給契約を締結したと発表しました。本契約は単一案件へのスポット供給ではなく、米国およびカナダで進む合計5GW(ギガワット)超の容量を持つ大規模AIデータセンタープロジェクト群を対象とした複数年の供給プログラムとなります。LGはこれに先立つ10月1日、米国新工場建設を含む3拠点への1,500億ウォン規模の生産設備投資も発表しており、冷却事業の供給体制を拡大しています。
本文
AI(人工知能)データセンターの増設に伴い、高密度の計算処理を行うGPUやサーバー群から発生する膨大な熱を効率的に処理する冷却インフラの確保が重要な課題となっています。LGエレクトロニクスが10月5日に公表した北米でのチラー長期供給プログラムは、計算設備の拡大に伴って冷却技術と製造体制の増強が不可欠となっている実態を示しています。
LGエレクトロニクスUSAは、北米でデータセンター向け空調設備を手掛けるAIR Control Concepts社と長期供給契約を締結しました。本案件は、北米各地で計画・建設が進む合計5GW超の容量を持つAIデータセンタープロジェクト群に対し、高度な空冷式遠心チラーを供給する枠組みです。提示された5GW超という数値は、LGが供給するチラー自体の冷却能力ではなく、本プログラムが対象とするAIデータセンタープロジェクト群の合計容量を示しています。なお、個別の契約金額は開示されていません。
今回供給される空冷式遠心チラーは、外気温度が低い時間帯に屋外の冷気を利用してコンプレッサーの負荷を減らす技術(refrigerant free-cooling)を備えています。LGがソウル首都圏の気候条件などを前提に実施した社内シミュレーションでは、waterside free-cooling方式と比較して年間エネルギー消費量を約30%抑えられるとしており、計算密度の高まりに応じた熱管理の効率化に対応しています。
LGにおけるデータセンター冷却事業の受注は急速に拡大しています。同社によれば、2026年上期(1〜6月期)におけるデータセンター向け冷却ソリューションの受注額は4億2,800万ドルを超え、2026年末までには受注額が数十億ドル規模に達する見込みです。さらに、これまで2027年の目標として掲げていたチラー事業の売上高約6億8,000万ドル(1兆ウォン)についても、達成時期が前倒しされる見通しを示しています。
拡大する需要に対し、LGは製品開発、パートナーシップ、生産能力の拡張を連続して進めています。同社は9月21日にAIデータセンター向けの新型空冷式遠心チラーを発表し、9月28日にはNVIDIA Partner Networkの「Power and Cooling Solution Preferred Partner」に参加したと発表しました。
さらに10月1日には、北米を中心とする需給拡大に対応するため、米バージニア州ウィンザーへの空冷チラー新工場設置(2027年上期生産開始予定)と、韓国の平沢・昌原における既存生産ラインの増強を発表しました。これら3拠点に対する投資額は合計1,500億ウォン規模に上ります。製品投入からパートナーシップの構築、そして製造拠点の拡張と長期供給契約の獲得に至る一連の動きは、AIインフラの拡張に伴い、計算設備そのものにとどまらず熱処理を担う冷却設備の需要と製造能力が同時に拡大している構造を示しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













