AI計算をデータセンター間で広域移動 ソフトバンクなど12者、電力・GPUを統合制御

2026年10月08日 07:53

データセンター都市イメージ

地域に分散するデータセンターの計算資源と通信、電力を連携し、AIの学習・推論などの処理をDC間で移動させる「広域ワークロードシフト」を概念的に表したイメージ(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

ソフトバンクやKDDI、電力会社、大学など12者は、AIの学習や推論などの処理(ワークロード)を地域が異なるデータセンター(DC)間で移動させる「広域ワークロードシフト(WLS)」の社会実証を行っています。電力需給や電力市場、GPUの使用率、蓄電池の状態、通信ネットワークなどの情報を収集・分析し、ワークロードの配置を判断・制御する仕組みを検証します。通信インフラには学術情報ネットワーク「SINET」のほか、東京電力パワーグリッドが保有する電力保安用光ファイバーの未利用回線(ダークファイバー)も活用。国内に分散する計算資源を束ね、広域・マルチキャリア・DC・電力システムを相互最適化する新たなAIインフラモデル「バーチャルハイパースケーラー」の実現を目指し、2027年2月まで実証を進めます。

本文
 ソフトバンクなど12者は、AIの学習・推論処理を複数地域のデータセンター(DC)間で移動させる「広域ワークロードシフト」の社会実証を進めています。電力需給やGPU(画像処理半導体)の使用状況、通信ネットワークなどの情報を基にワークロードの配置を判断・制御し、通信・電力・計算を広域で協調制御する仕組みを検証します。総務省の「ワット・ビット連携関連実証」に採択された取り組みで、実証期間は2026年8月から2027年2月までとなります。

 本実証に参加するのは、MESH-X、NHKテクノロジーズ、九州大学、KDDI、ソフトバンク、東光高岳、東京大学、東京電力パワーグリッド、東京電力ホールディングス、富士通、北海道大学、モルゲンロットの12者です。通信事業者、電力会社、プラント・機器メーカー、大学、IT企業が連携し、計算資源、通信、電力を横断した統合制御技術の検証に取り組んでいます。

 実証では、各DCにおける電力需給や電力市場の情報、GPUの使用率、蓄電池の充電・放電状態、ネットワーク状況などのデータを集約・分析します。これらの情報を基に、AIの学習や推論といった負荷の大きいワークロードをどのDCで処理・制御するのが適切かを判断する仕組みを検証します。AI処理を特定のDCに固定するのではなく、広域に分散した計算資源とエネルギー状況に合わせてフレキシブルに配分する技術の確立を目指します。

 また、DC間をつなぐ通信インフラの構築も重要な検証項目です。実証では、大学や研究機関などを結ぶ学術情報ネットワーク「SINET」に加え、東京電力パワーグリッドが保有する電力保安用光ファイバーの未利用回線(ダークファイバー)を活用します。さらに、一部の区間ではDC間をオール光ネットワークで直結する構成も検証します。

 電力側との連携においては、都市部へのDC集中による電力供給の課題や地域に偏在する再エネの出力制御増加を背景に、再生可能エネルギーや蓄電池を含めた統合制御を行うワークロードシフト技術の有効性を検証します。

 12者は今回の社会実証を通じ、国内に分散する計算資源を束ね、広域・マルチキャリア・DC・電力システムを相互最適化する新たなAIインフラモデル「バーチャルハイパースケーラー」の将来的な実現を目指しています。今後は制御技術の検証にとどまらず、地域や事業者をまたいで計算資源・電力・通信をシームレスに連携させるための共通インターフェースの策定や、ビジネスモデルの構築、国際標準化に向けた検討も進めていく方針です。

 12者は2027年2月まで社会実証を継続し、広域ワークロードシフトの技術面や運用面での有効性と課題を検証していきます。増大するAI計算需要に対し、分散したインフラ資源を最適制御する基盤技術の確立に向けて検証を重ねていく計画です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)