農水省、豪雨・台風被害の農地や林道など復旧手続きを迅速化 災害査定の効率化対象を追加

2026年10月10日 08:18

農水省イメージ

災害査定の効率化措置を示したイメージ図。農林水産省は2026年10月9日、豪雨や台風で被災した農地・農業用施設などの早期復旧に向け、既存の効率化措置の適用対象を追加した。机上査定の拡大、採択保留基準の引き上げ、設計図書の簡素化により、自治体などの事務負担軽減を図る。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

農林水産省は2026年10月9日、一連の豪雨や台風による被災地の早期復旧を支援するため、「大規模災害時の災害査定の効率化」措置の適用対象となる施設・区域を追加公表しました。激甚災害(本激)の指定見込みが追加で示されたことを受けた行政対応です。通常は現地調査を原則とする災害査定について、机上査定の対象範囲拡大、本省への持ち帰り審査(採択保留)の基準引き上げ、提出図書の簡素化を実施します。現地調査や書類作成など自治体等の手続き負担を削減し、復旧事業への早期着手を促す狙いです。

本文
 農林水産省は10月9日、「令和8年梅雨前線豪雨から台風第25号までの一連の気象現象による災害(仮称)」に関して、被災した農地や農林水産業施設の復旧に向け、災害査定に要する期間や事務負担を縮減する「大規模災害時の災害査定の効率化」の適用対象を追加したと発表しました。今回の発表は、政府が激甚災害(本激)の指定見込みを追加で公表したことを踏まえた手続き上の措置です。すでに8月や9月に対象区域が公表されていますが、その後の被害報告に基づいて対象となる施設および地域を追加指定しました。

 災害査定は、台風や豪雨などで被災した施設について、国庫補助を受けた復旧事業費の適正な決定と事業採択を行うために不可欠な行政手続きです。対象となる施設は、農地、農業用施設、林道、農林水産業共同利用施設などのほか、海岸、林地荒廃防止施設、地すべり防止施設、漁港など多岐にわたります。被災自治体等からの被害報告において、被災箇所数が過去5年間の平均を超えた地域などが対象区域に設定されています。

 効率化措置の大きな柱の一つが、現地調査を行わずに会議室等で書類審査を行う「机上査定」の適用拡大です。従来、机上査定が認められる事業費の上限額は、農地等の暫定法施設で500万円未満、公共土木等の負担法施設で1,000万円未満と決められていました。効率化措置では、査定見込み件数のおおむね7割(農地および農業用施設はおおむね9割)までの案件が机上査定に収まるよう、上限額の引き上げを行います。これにより現地調査の件数が大幅に減少し、審査期間の短縮が見込まれます。

 もう一つの効率化措置が、本省での判断を必要とする「採択保留」の金額基準の引き上げです。事業費の決定見込額が大きくなり、現地で決定せず国(本省)に判断を持ち帰る金額基準を引き上げます。従来の基準額(暫定法施設2億円以上、負担法施設4億円以上)を超えて保留される件数のうち、おおむね6割までを目安に本省判断を回避できるよう基準を緩和します。これにより現地での迅速な事業決定が可能となり、工事着手までのタイムラグが削減されます。

 さらに、自治体職員が提出する査定用書類の作成負担を抑えるため、設計図書の簡素化が認められます。具体的には、査定設計書に添付する図面などについて、航空写真や代表断面図などを活用できるようにします。これにより、図面や写真などの査定資料を準備する負担が軽減され、資料作成に要する期間の短縮が期待されます。人手不足が懸念される被災自治体の事務負担軽減に直結する取組です。

 今回の追加発表における対象区域は、2026年10月8日時点の被害報告に基づいて算出されています。農地については北海道から九州まで広い範囲が対象となるほか、漁港では千葉県、東京都、和歌山県、香川県、沖縄県の5都県が指定されています。施設の種類ごとに適用区域は異なっており、今後の調査結果に応じて対象区域がさらに追加される可能性も残されています。なお、今回の発表は過去の激甚災害等で運用されてきた既存の効率化ルールの追加適用であり、激甚災害の正式指定そのものや、補助金率の上乗せといった予算上の決定とは区別されます。

 農林水産省は、現地調査の削減、本省審査の縮減、書類準備期間の短縮という3つの効果を通じて、災害査定に要する業務量と所要期間を大幅に削減し、被災施設の早期復旧と地域の復興を支援していく方針です。今回の措置は復旧予算の新設や補助率の引き上げではなく、災害査定の手続きを迅速化するものです。農水省は、こうした事務負担の軽減を通じて、被災施設の早期復旧を促進するとしています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)