NVIDIA、次世代AIデータセンターの共通設計を公開 電力・冷却・通信の標準化を推進

2026年10月13日 12:55

データセンターのサーバー回廊

データセンター内部のイメージ。米NVIDIAは次世代AIプラットフォーム「Vera Rubin」に対応するラック設計をOCPに提供し、電力・冷却・通信を含むAIインフラの共通仕様整備を進める(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

NVIDIAは2026年10月12日、OCP Global Summitに合わせ、次世代AIプラットフォーム「Vera Rubin」に対応するデータセンターの共通設計をOpen Compute Project(OCP)へ提供すると発表しました。最大250kWのラック電力対応設計や電力網協調要件、Metaによるネットワークスイッチ採用などを網羅し、電力、冷却、通信網を含めたAIインフラの共通基盤整備を主導します。

本文
 米NVIDIAは2026年10月12日、Open Compute Project(OCP)のグローバルサミットにおいて、次世代AIプラットフォーム「Vera Rubin」に対応するラックやコンピュートトレーの共通設計をOCPエコシステムへ提供すると発表しました。同社はAI施設のメガワット級からギガワット級への拡張を見据え、電力供給、液冷、ネットワーク、設備運用に関するオープンな仕様整備を進めています。

 AIデータセンターの大規模化と高密度化が進む中、単一の半導体製品の性能向上だけでなく、施設全体を支える電力、冷却、通信、設備設計の一体的な最適化が課題となっています。設計や仕様の共通化を促すことで、システムメーカーや設備メーカーが共通の標準規格に基づいて製品開発や施設構築を進めやすくする環境が提示されています。

 今回の発表において同社は、モジュール型設計仕様「MGX 1.2」に関連するラックおよびコンピュートトレーの設計案を示しました。本設計は最大250kWのラック電力に対応可能な構成を備え、高密度な液冷システムの導入を支援します。なお、250kWはラック構成として対応可能な最大能力を示す値であり、すべての設備の実際の消費電力を意味するものではありません。

 さらに同社は、NVIDIA、AMD、Google、Metaの4社が共同で公表に参加した「Open Data Center Specification v0.7」の取り組みを紹介しました。AI施設ではサーバー本体に加えて配電、冷却、ラック構造などを一体設計する必要があります。共通仕様の整備により、異なるメーカー間の設計調整や設備の相互運用性を高める狙いがあります。

 電力網との協調に関しては、Google、Meta、Microsoft、NVIDIAの4社が公表に参加した「Grid Resilience Specification」が示されました。これは系統異常が発生した際、AI施設がほぼ全負荷へと2秒未満で復帰することを目指す仕様上の要件であり、停電状態からの復旧時間を示すものではありません。電力網の負荷変動に対応する設計上の要件として位置付けられます。

 設備運用を支えるソフトウェア分野では、NVIDIAが「DSX AI Factory」の運用基盤「DSX OS」を拡張するオープンソース構成要素を発表しました。ネットワーク設定の自動化、GPUクラスタの稼働前検証、ラック管理、サーバー環境の構築などを対象としており、大規模AI施設の導入から運用までを支援する仕組みです。

 ネットワーク分野では、Metaによる同社の「Spectrum-6」イーサネットスイッチの採用方針が示されました。スイッチの帯域仕様として102.4Tb/sを備え、将来的に10万基を超えるGPUを接続する大規模計算基盤の構築構想に対応する仕様として紹介されています。ただし、これは機器の能力や構成構想であり、設置済みのデータセンター全体における通信量や実測値とは区別されます。

 関連発表として、Visionbayによる800V直流給電に対応した「K-1」施設設計計画や、Ciscoとの連携による400Gb/s/レーンを目指す「USFP」光接続規格の提示などが含まれます。USFPの400Gb/s/レーンは将来の対応を見据えた構想であり、普及済みの商用実績ではありません。これらの発表は、配電や光通信など周辺設備産業の重要性を示しています。

 今回の共通設計の提供は、AI関連の技術開発や投資対象が単体の半導体から、電力、冷却、通信、施設設備全般へと広がりを見せている動向を裏付けています。NVIDIAがAI施設全体のオープンな設計規格や運用仕様へ関与を強める中、周辺の設備製造業やインフラ関連産業への波及可能性や共通基盤の定着度合が今後の注目点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)