NEC、災害画像の確認を約7時間から45分に短縮 AIで被害を検出、2027年度実用化へ

2026年10月14日 16:19

今回のニュースのポイント

NECは2026年10月14日、東北大学岡谷研究室と共同で、災害時の被害状況把握を支援するAI技術を開発したと発表しました。5,035枚の車載カメラ画像を用いた検証において、AIで目視確認が必要な画像を平均544枚に絞り込んだ場合、1枚5秒の目視確認作業にかかる時間を約7時間から約45分へと約9分の1に短縮できると試算されました。2027年度中の実用化を目指し開発が進められています。

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 大規模な自然災害の発生時における被害状況の迅速な把握に向け、AIを活用して画像確認作業の負担を軽減する技術開発が進んでいます。

 NEC(日本電気株式会社)は2026年10月14日、東北大学岡谷研究室と共同で、災害時に撮影された大量の画像から被害の状況を効率的に確認・検出するAI技術を開発したと発表しました。過去の災害映像を用いた検証においては、人間が目視で確認する作業時間を従来の約7時間から約45分へと約9分の1に短縮できるとの試算結果が示されています。

 地震や豪雨などの災害発生直後には、自治体や関係機関が道路の寸断や建物の損壊状況を特定するため、現地で撮影された多数の画像を確認する必要があります。しかし、大量の画像を手作業で確認する作業は現場の大きな負担となっており、確認の精度を維持しながら効率化を図る手法が求められていました。

 今回開発された技術では、画像とテキスト情報を組み合わせて理解するVLM(視覚言語モデル)が活用されています。VLMは、文章で指定された内容と画像内の対象物を照合して認識する技術であり、自然言語による指示に基づいて目的の被災状況を検索・検出することを可能にします。

 技術的な特徴の一つとして、画像全体の中でごく一部にしか写っていない小さな被災事象を検出する精度の向上が挙げられます。道路の小さなひび割れや建物の部分的な損壊など、画像全体の面積のうち10%以下しか占めないような小さな被災事象についても、VLMを活用して認識精度を高める技術を開発しました。

 もう一つの特徴は、新たな被災事象を追加で学習させた際、過去に学習した事象の検出能力が低下する現象を抑える技術です。これにより、新たな被災事象を学習する際にも、以前に学習した事象の認識性能の低下を抑えながら、検出対象を追加できる可能性があります。

 実際の検証では、東日本大震災の記録映像から抽出した車載カメラ画像5,035枚を対象に、12種類の被災事象の検出が行われました。AIが確認優先度の高い画像を抽出した結果、最終的に人間が目視確認すべき画像は平均544枚にまで絞り込まれました。

 目視確認の時間を1枚あたり5秒と仮定した場合、5,035枚すべての目視確認には約7時間を要しますが、絞り込み後の平均544枚であれば約45分で済む計算となります。なお、この約9分の1という短縮効果は、目視確認条件に基づくNECの試算であり、AIによる画像処理時間や、画像収集・意思決定といった災害対応業務全体の所要時間を示すものではありません。

 本研究に関連する技術成果は、コンピュータービジョン分野の国際学会である「ECCV 2024」および「ECCV 2026」に採択されています。NECは本技術の精度向上を進め、2027年度中の実用化を目指すとしています。

 今回の検証では、5,035枚の画像を平均544枚に絞り込むことで、1枚5秒の目視確認時間を約7時間から約45分に短縮できるとする試算結果が得られました。実用化目標は2027年度中とされており、開発された技術が実際の災害現場や自治体業務全体においてどの程度の効果を発揮するかは、今後の実証と実装過程における検証対象となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)