政府AI「源内」、AIエージェントを順次導入 デジタル庁が安全・運用基準を公表

2026年10月20日 12:33

今回のニュースのポイント

デジタル庁は2026年10月20日、政府職員向けの共通生成AI利用環境「ガバメントAI 源内(げんない)」の安全・運用基準を公表し、AIエージェント機能の順次導入を発表しました。源内は法令調査や国会答弁の資料検索、公用文の校正などを支援する仕組みで、汎用的な機能や行政実務に対応した約40種類のAIアプリを提供しています。2026年5月から約18万人の政府職員を対象に実証を進めており、2027年度以降の本格利用に向け、情報管理や人間による最終判断の責任を明確にしています。

本文
 デジタル庁は2026年10月20日、政府職員向け共通生成AI利用環境「ガバメントAI 源内」に関するガバナンス・セキュリティ・セーフティの運用・安全基準(源内基準第1版)を公表し、業務処理を自律的に進める「AIエージェント」の順次導入を発表しました。

 「源内」は、国民が日常的に使う一般向けのチャットサービスではなく、政府職員の日常業務や行政実務を支援するためにデジタル庁が企画・開発・提供・運用している政府共通のAI利用環境です。公務員が法律や過去の国会答弁を調べたり、公用文の校正、補助金制度の検索、行政文書の用例検索、会議記録の作成、表データの集計・分析を行ったりする際に活用されています。対話や翻訳、画像生成などの汎用的な機能や行政実務に対応した約40種類のAIアプリが提供されています。

 「源内」は、デジタル庁内での利用(2025年5月開始)を経て、2026年5月からは全府省庁の約18万人の政府職員を対象とする大規模実証へと拡大しました。実証を通じて利用効果や課題の検証が進められており、2027年度以降、各府省庁が予算措置を講じた上で本格利用へ移行する方針です。なお、18万人は実証対象の職員数であり、日々の実際の利用者数を示すものではありません。

 今回公表された「源内基準」は、利用(政府職員等)、管理(各府省庁の統括責任者等)、開発・運用(デジタル庁担当者等)の各主体における役割と責任を整理したルールです。最大の原則は「人間中心のAI利用」であり、AIの出力を無条件に採用せず、職員が内容や根拠を確認した上で最終的な行政判断と責任を担う仕組みの徹底を求めています。許認可や給付など国民の権利利益に直接関わる業務では、職員による監督、承認、介入、利用停止を可能にする仕組みを求めています。

 また、あわせて複数の作業を自律的に連続実行する「AIエージェント」環境の順次導入も発表されました。対話型の「エージェントチャット」を各府省庁等へ順次導入し、より複雑な調査・分析やプロトタイプ開発に対応する「源内工房」は同年12月頃までの導入を目指します。職員のノウハウ(暗黙知)を業務手順や判断基準として記述した「スキル」として形式知化し、政府横断で共有・再利用する「源内ライブラリ」も整備される計画です。

 情報管理面では、原則として政府共通の「ガバメントクラウド」を利用し、国内データセンターでAIの推論処理やデータ保存を行います。ただし、国内では利用できない高度なAIモデルを使う必要がある場合などには、海外での推論処理も例外的に認めます。その際は、処理後に入力・出力データを海外で保存しないことを契約で確保する方針です。入力データがAIモデルの学習に利用されない契約の確保や、特定秘密などの入力禁止ルールも明記されています。

 経済・産業上の観点からは、政府がAIの大規模な利用主体となることで、国内AI事業者の技術改善にもつなげる方針です。デジタル庁は政府共通の知識基盤として、国会会議録や白書、予算・決算資料など推計1,800万ページ以上の資料収集を進めるほか、別途、昭和22年5月以降の官報約79年10カ月分のデータ確保も進めています。特定の企業やモデルに過度に依存しない「疎結合構成」を採用し、国産・海外産を問わず性能や信頼性を客観評価して選定する方針をとっており、2026年4月には「源内」の一部を商用利用可能なオープンソースソフトウェア(OSS)として公開しました。

 2027年度以降の本格利用に向け、実際の業務削減効果や費用対効果(ROI)、情報管理の実効性、AIエージェントの安全な運用管理をどのように検証・定着させていくかが今後の焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)