英南部で深刻な干ばつ、水道会社が供給維持策を強化 漏水対策や水圧調整を推進

2026年10月21日 13:42

水処理施設イメージ2

水道施設の配管や水処理設備のイメージ。英国南部の一部地域では深刻な干ばつが続いており、水道会社は漏水対策や水圧調整など、既存インフラの運用改善を通じて水供給の維持に取り組んでいます。(イメージ画像)

今回のニュースのポイント

英国政府・環境庁は10月20日、前日19日に開催された国家干ばつグループ(NDG)の会合で、水道会社の経営トップが水供給の維持に向けた取り組みを報告したと発表しました。イングランド南部の一部では深刻な干ばつが続いており、水道会社は漏水調査の加速や夜間の水圧調整、仮設ポンプの設置などを進めています。家庭向け給水は維持されていますが、干ばつ解消には今後6カ月間で平年の120%以上の降雨が必要とされています。

本文
 英国政府・環境庁(Environment Agency)は2026年10月20日、前日の19日に開かれた「国家干ばつグループ(National Drought Group)」の会合において、水道会社の経営トップから水供給の安定維持に向けた対応状況の報告を受けたと発表しました。イングランド南部の一部地域では降水量不足による深刻な干ばつ状態が継続しており、水道事業者は既存インフラの運用を見直し、供給障害の回避に向けた対策を強化しています。なお、今回の発表は供給維持に向けた緊急対応の報告であり、大規模な断水が既に発生しているわけではありません。

 深刻な干ばつの対象となっているのは、コーンウォール、デボン、ドーセット、サマセット、イーストサセックス、ウェストサセックスなどの各州の一部地域です。環境庁のデータによると、英南東部および南西部では、2026年4月から9月までの6カ月間の降水量が過去100年以上の観測史上最低の水準となりました。英国全土が一律に深刻な水不足に陥っているわけではないものの、南部地域においては厳しい水資源管理が求められる事態となっています。

 こうした事態に対し、水道会社は限られた水資源を効率的に活用するための具体策を進めています。現場では漏水探知調査を加速させて配水漏れの早期修復を図っているほか、需要が下がる夜間の時間帯において水圧調整を実施し、配水管網への負荷軽減と不要な漏水の抑制を図っています。これらの水圧調整は配水網を適正に維持するための運用手法であり、家庭や事業者への給水停止を意味するものではありません。

 さらに事業者側は、配水網内での水の相互融通や貯水池・河川の水量状況の常時監視を進めています。具体的な設備対応として、サウス・ウェスト・ウォーターが管轄するStithians(スティシアンス)貯水池の供給区域では、仮設ポンプがすでに設置されています。各水道会社は地域特性や所有するインフラの構造に合わせ、限られた淡水資源を維持するための対応に追われています。

 規制上の対応として、環境庁はサウス・ウェスト・ウォーターおよびサウス・イースト・ウォーターの2社に対し、貯水池から河川への放流量を削減して水道用水を確保するための「干ばつ対応許可(Drought Permit)」を交付しています。一方で、Wessex Water(ウェセックス・ウォーター)が準備している7件の追加許可申請をはじめ、水道会社3社から提出された不要不急の事業用水利用の制限申請などについては、発表時点で申請準備や審査の段階にあります。許可済みの措置と現在準備・審査が進む手続きは明確に区別されます。

 公式発表によると、こうした各種の対策により、現時点で家庭向けの水道供給は途絶えておらず安定的に維持されています。水道会社は供給リスクを回避するための運用改善を進めていますが、生活用水の確保と周辺の河川環境・生態系保全とのバランスをいかに取るかが継続的な課題となっています。現時点で断水世帯や給水制限の対象規模などに関する新たな被害数値は示されていません。

 環境庁の試算では、春の初めまでに現在の干ばつ状態から十分に回復するためには、今後6カ月間で平年の120%以上となる降雨量が必要であると説明されています。この数値は今後の気象予測ではなく、水資源が正常化するために必要とされる降水量の目安です。環境庁は、干ばつからの回復には今後数カ月にわたる十分な降雨が必要との認識を示しており、降水状況の推移が重要となります。

 今回の報告は、気象変動に伴う水不足への対応が節水の呼び掛けにとどまらず、水道インフラの運用見直しや行政による監督を伴う重要な課題になっていることを示しています。今後は、秋以降の降雨状況とあわせ、水道会社が漏水抑制や水圧管理を通じて安定供給を維持できるかが焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)