国内消費者向けEC市場27兆5,580億円、前年比5.5%増 物販のEC化率は9.80%

2026年10月21日 14:11

スマホイメージ

スマートフォンを利用した電子商取引のイメージ。2025年の国内消費者向けEC市場は前年比約5.5%増の27兆5,580億円となった。(イメージ画像)

今回のニュースのポイント

経済産業省が2026年10月にまとめた調査によると、2025年の国内消費者向けEC市場は前年比約5.5%増の27兆5,580億円となりました。物販系市場は15兆8,233億円で、EC化率は9.80%。食品・飲料・酒類のEC市場は3兆3,332億円に拡大しましたが、EC化率は4.66%と、家電の43.08%や書籍・映像・音楽ソフトの57.93%を下回りました。市場規模の増加には物価上昇の影響もあり、購入数量の増加と区別する必要があります。

本文
 経済産業省が2026年10月に取りまとめた「令和7年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」によると、2025年(1月〜12月)の国内企業・消費者間電子商取引(BtoC-EC)の市場規模は、前年から1兆4,355億円増加し、27兆5,580億円となりました。前年比の増加率は約5.5%となり、国内の消費者向けEC市場は成長を維持しています。消費者向けECは、物品を購入する「物販系」、サービスを利用する「サービス系」、デジタルコンテンツを扱う「デジタル系」の3つの分野で構成されています。

 分野別の市場規模を見ると、物販系分野が前年比3.97%増の15兆8,233億円と、全体の過半を占めています。また、旅行予約や飲食予約などを含むサービス系分野は前年比8.64%増の8兆9,362億円となりました。サービス系分野は3分野の中で最も高い伸び率となり、増加額でも市場全体の拡大に大きく寄与しました。電子書籍や動画配信などのデジタル系分野は前年比4.52%増の2兆7,985億円となりました。

 商取引全体に占める電子商取引の割合を示す「EC化率」を見ると、2025年の物販系分野のEC化率は9.80%で、対象となる商取引金額の約1割を電子商取引が占めています。物販系分野では、EC以外の取引が金額ベースで約9割を占めています。なお、このEC化率はBtoC-EC全体の割合ではなく、あくまで物販系分野を対象とした指標です。

 物販系分野のカテゴリー別では、「食品、飲料、酒類」の市場規模が3兆3,332億円(前年比6.96%増)となり、物販の中で最大規模に達しました。しかし、そのEC化率は4.66%と低い水準にとどまり、日常的な食品購入は実店舗が主流であることがうかがえます。報告書では、利便性の認識やネットスーパーの拡大に加え、食品価格の物価上昇が名目ベースの市場規模拡大に寄与したと分析しています。

 一方、商品カテゴリーによってEC化率には大きな開きがあります。「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」のEC化率は43.08%(市場規模2兆8,829億円)にのぼり、製品仕様が明確で事前調査しやすい商品の特性から高いオンライン化率を示しています。「書籍、映像・音楽ソフト」もEC化率は57.93%と高い水準ですが、市場規模自体は1兆8,495億円と前年比1.14%減少しました。オンライン化率が高いことと、市場規模が成長していることは必ずしも同義ではない実態を示しています。

 市場規模の推計値は取引金額をベースに算出されるため、名目額の増加が直ちに購入数量や利用者の増加を意味するわけではありません。特に2025年は、米をはじめとする食品価格の高騰など物価上昇の局面が見られ、単価の上昇が市場規模の数値を押し上げた側面が存在します。そのため、金額の拡大のみをもって消費数量が同等に増加したと判断することはできず、物価の動向を踏まえた見極めが必要です。

 今回の調査結果からは、ECが流通・小売事業者にとって重要な販売チャネルとなっていることが読み取れます。その一方で、食品のように実店舗での購入が圧倒的な分野もあれば、家電や書籍のように取引の多くがオンラインへ移行した分野もあり、消費者の購買行動は商品属性によって大きく異なります。企業が今後の事業戦略を講じるうえでは、単なるEC化の推進にとどまらず、実店舗とECの適切な役割分担や販売効率の確保が重要な焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)