日本初のデジタルサイネージ事業がスタート

2013年03月09日 20:08

 最近、ショッピングセンターやホテルのエントランス、駅のコンコースに電車内の液晶モニターなど、日常のあらゆる場面で目にする機会が多くなってきたデジタルサイネージ。平面ディスプレイを使って、映像や文字情報など視覚効果の高いビジュアルで伝達する新たな広告メディアとして様々な業界で注目を集めている。現在、急速に普及が進んでおり、株式会社シード・プランニングの調査においては、2016年度には1兆円を超える市場規模になると予想されているほどだ。

 そんな中、デジタルサイネージを使った、新たなプロジェクトが始動した。株式会社廣済堂が、医療分野におけるコンサルティング事業などを展開する株式会社医療情報基盤と協業し、日本では初めて医療従業者を対象にした病院内でのデジタルサイネージ事業の運用を正式に開始すると発表した。医療分野の広報市場などで実績を持つ廣済堂がバックアップし、医療情報基盤が主に300床以上の病院を対象に、デジタルサイネージ機器を設置し、病院内の業務情報に加え、医療関連企業や一般企業などのPR情報も配信していくという。

 具体的には、病院内の医療従事者のみ立入可能なエリア内にデジタルサイネージを複数台設置し、院内で共有するべき情報を配信・発信することで、医療従事者の情報共有およびコミュニケーションの活性化を図るというもの。また、病院情報とともに医療施設や医療従事者を対象としている企業に対して配信枠を販売し、商品広告やPR番組等のコンテンツ(動画・静止画)の放映・管理も行っていく予定だ。

 病院サイドとすれば、最小限のコストだけで最新のデジタルサイネージ機器を使って経営情報や病棟稼働状況、医療安全情報など、病院内の共有・伝達が可能となるなどのメリットがある。広告枠を購入した企業にとっては、医療従事者にターゲットを絞り、自社の商品やサービスをより視覚効果の高い形で効率的に訴求していくことができる。

 医療デジタルサイネージは、既に全国16の病院で導入(2013年1月時点)され、試験運用が開始されており、さらに25病院での設置が決定しているという(2013年3月時点)。医療情報基盤では、今回の正式運用開始を機に、今年6月末までに100病院で、2014年3月には約400病院での設置を計画しており、さらに2015年度に約50億円の売り上げを目指している。(編集担当:北尾準)