カスハラ対策、企業の約3割が未着手 10月から防止措置義務化、中小企業で対応に遅れ

2026年10月26日 13:39

画・雇調金申請、上場企業の2割超。計上額も急増。直近8カ月で2倍。先行き不透明で雇用維持難しく。

都市部のオフィス街。帝国データバンクの調査では、カスタマーハラスメント対策に「特に取り組んでいない」と回答した企業が29.7%に上り、大企業と中小企業の対応格差も明らかになった。(イメージ画像)

今回のニュースのポイント

帝国データバンクが公表した調査によると、顧客からの著しい迷惑行為(カスハラ)への対策について、29.7%の企業が「特に取り組んでいない」と回答しました。2026年10月1日から改正労働施策総合推進法により全事業主へ防止措置が義務付けられましたが、直前の9月調査では約3割が未着手でした。対策実施・予定は大企業の82.6%に対し中小企業は66.5%にとどまり、相談窓口の設置や再発防止策の整備で規模間格差が浮き彫りとなっています。直近1年の被害率は15.3%でした。

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 顧客や取引先による理不尽な要求や悪質なクレームから従業員を守る取り組みが法的に求められる中、企業現場の準備状況にはばらつきが見られます。株式会社帝国データバンクが10月26日に発表した実態調査(有効回答1万235社)によると、カスタマーハラスメント(カスハラ)や不当な要求への対策について、「特に取り組んでいない」と回答した企業が29.7%に上りました。改正労働施策総合推進法に基づき、2026年10月1日からすべての事業主に対してカスハラ防止措置が義務付けられましたが、義務化直前となった9月後半の調査時点において、約3割の企業が未着手だった実態が示されています。

 調査は2026年9月14日から30日にかけてインターネット上で実施されました。カスハラへの対応策について何らかの「取り組みあり」(実施中および予定を含む)とした企業は68.9%でした。具体的な取り組み内容(複数回答)を見ると、「従業員への企業方針・対応ルールの周知」が37.8%で最も高く、「カスハラを容認しない企業方針の策定」が28.6%、「相談・通報窓口の設置」が27.2%で続きました。法令で求められる基本方針の策定や周知が先行する一方、これらは今後の導入予定を含んだ割合であり、すでに対策を完了した企業割合とは異なる点に留意が必要です。

 企業規模別では、対応の進捗に明確な格差が表れています。対策の取り組み(予定含む)がある企業は大企業の82.6%に対し、中小企業では66.5%にとどまり、16.1ポイントの開きが生じました。特に「相談・通報窓口の設置」に取り組む、または予定している企業は大企業が51.7%に対し、中小企業は23.0%で、28.7ポイントの差がありました。中小企業からは「社長に直接相談できるため体制整備は考えていない」という声のほか、具体的な対応方法が分からないことや、人員・費用面など経営資源の制約が体制整備の壁になっているとの指摘が寄せられました。

 また、事後的な検証や被害者支援の体制整備が遅れている実態も浮き彫りとなりました。「再発防止策の実施」に取り組む、または予定している企業は全体の8.1%、「被害従業員への心身のケア」は11.8%にとどまりました。さらに、直近1年以内に実際にカスハラ被害を受けたと回答した企業に限定した場合でも、再発防止策の実施は18.3%にとどまりました。基本方針を定める段階にとどまり、事案発生後の検証やルールの見直しといった実効性を高める仕組みの構築は、被害経験企業においても十分に進んでいません。

 直近1年以内に自社または従業員がカスハラや不当な要求を受けたことが「ある」と答えた企業は15.3%でした。前回調査(2024年6月、15.7%)から0.4ポイント低下したものの、被害水準に大きな変化はありません。業界別では、一般消費者と直接接する機会が多い「小売」が31.1%で最も高く、「金融」(26.8%)や「不動産」(21.4%)、「サービス」(20.3%)が上位となりました。一方、最も低い「製造」(7.6%)などの企業間取引(BtoB)中心の業界でも、元請けや取引先からの不当なハラスメントに立場上耐えざるを得ないといった声が聞かれます。

 深刻な人手不足が続く中、従業員が安全かつ安心して働き続けられる就労環境の整備は、人材の確保や定着を左右する極めて重要な経営課題です。10月からの法制化を契機として、企業には方針の周知だけでなく、相談窓口の設置や再発防止策を含む包括的な体制整備が求められます。とりわけノウハウや人員に制約を抱える中小企業に対しては、公的な相談支援や具体的な対応マニュアルの周知など、現場の実効性を高めるための実務的な後押しが不可欠となっています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)