今回のニュースのポイント
日東電工は2026年10月27日、2027年3月期中間決算を発表し、売上収益は前年同期比8.7%増の5,583億円、営業利益は12.0%増の1,058億円となりました。AIデータセンター向け材料が伸びる一方、ノートパソコンやタブレット向け光学フィルムの需要は減少しました。円安による営業利益の押し上げ効果は196億円でした。同社は年間配当予想を64円から72円に増額し、最大500億円の自己株式取得も決議しました。通期業績予想は据え置いています。
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日東電工株式会社が10月27日に発表した2027年3月期中間連結決算(2026年4月1日~9月30日、国際会計基準=IFRS)は、売上収益が前年同期比8.7%増の5,583億円、営業利益が同12.0%増の1,058億円となりました。同社は業績の進捗や財務状況を踏まえ、年間配当予想を従来の64円から72円へ引き上げるとともに、取得価額総額500億円を上限とする自己株式取得の実施を決議したこともあわせて発表しました。堅調な中間決算の達成と積極的な株主還元策の強化を同時に打ち出しています。
中間期の利益項目をみると、税引前利益は前年同期比11.8%増の1,064億円、親会社の所有者に帰属する中間利益は同11.0%増の765億円を計上しました。売上収益営業利益率は前年同期の18.4%から19.0%へと0.6ポイント改善し、高水準の収益性を維持しています。原材料価格の上昇に対して販売価格の適正化を進めたほか、AIデータセンター関連材料などの需要が伸長しました。円安による押し上げ効果も加わり、売上収益と各利益項目が前年同期を上回りました。
事業部門別では、インダストリアルテープ事業が力強い成長を牽引しました。同事業の営業利益は前年同期比51.3%増の358億円に急伸しました。人工知能(AI)データセンター向け需要の拡大を背景に、半導体メモリやセラミックコンデンサーなどの生産工程で使用される材料が好調に推移したほか、ハイエンドスマートフォン向けのバッテリー固定用電気剥離テープなども需要を伸ばしました。先端ITインフラ投資の活発化が、同社の中核部材の需要拡大に直接寄与しています。
一方で、オプトロニクス事業は減益となるなど、市場分野による需要の二極化もみられました。同事業の営業利益は前年同期比4.1%減の740億円にとどまりました。車載ディスプレイ向け光学フィルムやデータセンター向け回路材料(CIS)などは堅調に推移したものの、メモリ半導体の価格高騰を受けた顧客側の生産調整により、ハイエンドノートパソコンやタブレット端末向け光学フィルムの需要が大幅に減少したことが収益を押し下げました。
収益全体における為替動向の影響をみると、円安による営業利益の押し上げ効果は196億円に達しました。当中間期における営業利益の前年同期比増加額は約113億円であったため、為替変動が利益の拡大に大きく寄与した側面があります。このため、増益要因をすべて製品販売の増加や生産改善によるものと解釈することはできません。なお、2027年3月期の通期連結業績予想については、売上収益1兆1,100億円、営業利益2,000億円とする従来の見通しを据え置きました。
株主還元策においては、増配と自社株買いの双方が決定されました。年間配当予想は従来予想の64円から8円増額となる1株当たり72円(前期実績は60円)に見直され、中間配当を36円、期末配当予想を36円としました。また、発行済株式総数(自己株式を除く)の2.58%に相当する1,700万株、取得価額総額500億円を上限とする自己株式取得を決議しました。取得期間は2026年11月4日から2027年3月24日までで、実際の取得株数や取得金額は今後の実施状況によって決まります。
今回の決算は、AIインフラ関連の需要拡大と為替の追い風を享受する一方で、民生用IT機器における部材調整の影響を受けるという、電子材料メーカーが直面する複合的な事業環境を浮き彫りにしました。用途ごとの需要動向の差異や為替の変動要因を抱えながらも、高収益体質を維持し、通期予想を据え置きつつ増配や大規模な自社株買いへと踏み切った点に、同社の財務基盤と資本効率向上への明確な姿勢が表れています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













