さくらインターネット、GPU事業売上が3.6倍 中間期黒字転換、通期営業利益予想を64%上方修正

2026年10月28日 12:43

今回のニュースのポイント

さくらインターネットが10月28日発表した2027年3月期中間連結決算は、売上高が前年同期比46.0%増の228億2,700万円、営業利益が29億6,300万円となり、前年同期の赤字から黒字転換しました。生成AI向けGPUインフラストラクチャーサービスの売上高は約3.6倍の101億2,400万円に拡大しました。GPUの高稼働と提供単価改善を背景に、通期営業利益予想を従来の25億円から41億円へ64%上方修正しています。一方、上期利益の予想比上振れには一部広告・採用費用の見直しも寄与しており、下期は成長投資の実施を予定しています。

本文
 さくらインターネット株式会社は2026年10月28日、2027年3月期第2四半期(中間期)の連結決算を発表しました。売上高は前年同期比46.0%増の228億2,700万円、本業の儲けを示す営業利益は29億6,300万円となり、前年同期の9億2,000万円の営業損失から大幅に黒字転換しました。経常利益は30億1,300万円(前年同期は8億1,100万円の損失)、親会社株主に帰属する中間純利益は19億300万円(同6億2,600万円の損失)となりました。同社によると、第2四半期として売上高・営業利益ともに過去最高を達成しています。これを受け、通期の営業利益予想を従来の25億円から41億円へ64.0%引き上げる上方修正を発表しました。

 業績回復を牽引したのは、生成AI(人工知能)開発の活発化に伴い急拡大したGPUインフラストラクチャーサービスです。同サービスの中間期売上高は前年同期比258.9%増(約3.6倍)の101億2,400万円に達し、中間連結売上高の約44.4%を占める中核事業へと急成長しました。前期に獲得したベアメタル型生成AI向けサービス「さくら ONE」の大型案件の継続利用に加え、新規案件の獲得が進んだことが寄与しました。さらに、営業体制の強化によってNVIDIA製「H100」「H200」「B200」などの先端GPUがフル稼働に迫る高水準の稼働を継続し、サービスの提供単価改善が進んだことも売上高を大きく押し上げました。

 収益構造の面では、先行して実施してきた大規模な設備投資を売上拡大で回収するフェーズに入りつつあります。同社はGPUサーバーを3年間で早期償却する方針をとっており、説明資料の営業利益増減分析によると、前期のGPU投資に伴う減価償却費およびリース料の増加が26億7,000万円、サーバー保守費用等の増加が3億2,900万円の減益要因となりました。しかし、営業利益の前年同期比増減分析では、GPUインフラストラクチャーサービスの売上増加73億300万円がプラス要因となり、減価償却費・リース料などのコスト増を吸収して、連結営業利益の黒字転換につながりました。なお、先行投資した対象GPUサーバーの資産は2027年1月より順次、減価償却が終了する見通しとなっています。

 一方、中間期の営業利益が2026年7月公表の予想値(22億円)を7億6,300万円上振れた背景には、GPU事業の成長に加えて費用面の一時的な抑制要因も存在します。GPUサービスの単価改善やグループ会社による大口案件獲得に伴い売上高が予想を3億2,700万円上回ったことに加え、2026年8月に発生した不正アクセス事案への対応が影響しました。同社は顧客対応、再発防止策、およびセキュリティ基盤強化を最優先課題としたため、一部の広告宣伝・イベント施策や採用活動の内容を見直しました。これにより広告宣伝費が1億6,200万円、人材投資費用が1億2,500万円減少するなど費用の執行が抑制されました。なお、不正アクセス事案による通期業績への影響について、会社側は限定的であると説明しています。

 通期の連結業績予想については、売上高を従来予想比11億円増の466億円(前期比32.0%増)、営業利益を16億円増の41億円(前期は4億300万円の赤字)に見直しました。このうちGPU事業の通期売上高は208億5,000万円(前期比156.0%増)を見込んでおり、通期売上全体の約44.7%を占める見通しです。下期の業績予想は売上高237億7,200万円、営業利益11億3,600万円と、売上高は上期実績を上回る一方、営業利益は下回る計画となっています。下期は、上期に見直したマーケティング施策の実施や採用活動の強化(約70名の中途採用を予定)など、将来の成長に向けた投資を計画しており、これらの費用が営業利益予想に織り込まれています。

 また、同社は10月28日の取締役会で、創業30周年を記念し、株主への感謝を示すため、1株当たり2円50銭の中間配当を実施することを決議しました。これにより、期末配当予想の5円50銭と合わせた年間配当予想は1株当たり8円00銭(前期実績は5円00銭)となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)