小糸製作所、中間営業益54.8%増で通期予想を上方修正 下期は電子部品高騰を警戒

2026年10月28日 16:52

回のニュースのポイント

小糸製作所は、2027年3月期中間決算で売上高が前年同期比7.0%増、営業利益が54.8%増となりました。為替換算の影響に加え、新規受注や各地域での合理化が利益改善につながっています。通期営業利益予想を610億円に上方修正し、年間配当予想も64円へ引き上げました。一方、下期は電子部品価格の高騰や地政学的リスクを警戒し、慎重な見通しを示しています。

本文
 自動車用照明大手の小糸製作所は2026年10月28日、2027年3月期中間期(2026年4~9月)の連結決算を発表し、売上高が前年同期比7.0%増の4,781億71百万円、営業利益が同54.8%増の307億31百万円と大幅な増収増益を達成しました。あわせて通期の連結業績予想を上方修正し、営業利益予想を従来の600億円から610億円(前期比18.6%増)へ引き上げるとともに、年間配当予想を従来の58円から64円(前期実績56円)へ6円増額しました。中間期の営業利益率は前年同期の4.4%から6.4%へと約2.0ポイント改善しています。

 中間期の増収には円安による為替換算影響が大きく寄与しました。売上高の増加額約313億円のうち、約286億円が為替換算によるもので、為替影響を除いた実質的な増収額は約27億円(前年同期比約1%増)にとどまります。一方、営業利益は為替影響(プラス約14億円)を除いても約94億円の増加となり、本業の収益性は大幅に向上しました。販売数量増や受注車種の拡大に加え、部品工程自動化による生産性改善や固定費削減といった各地域での合理化活動(プラス51億円)などが利益を力強く押し上げました。なお、建物・構築物の減価償却方法を変更した影響で、中間期の営業利益などが3億22百万円押し上げられています。

 地域別の損益動向では明暗が分かれました。米州は売上高が前年同期比16%増の約1,769億円、営業利益が約69億円(前年同期は約46億円)と伸長し、アジアも二輪・四輪向け需要の拡大により売上高約897億円、営業利益約114億円と高い収益性を維持しました。対照的に中国事業は、日系自動車メーカーの販売低迷などが響き、売上高が同27%減の約242億円に落ち込み、営業損益は約4億円の赤字(前年同期は約8億円の黒字)に転落しました。同社は福州拠点の清算や湖北拠点の事業縮小・解散など生産体制見直しを進めていますが、販売減少の影響を補い切れていません。

 通期の連結業績予想は、売上高を従来の9,330億円から9,550億円(前期比0.8%増)へ、経常利益を655億円から675億円(同14.8%増)へ、親会社株主に帰属する当期純利益を395億円から430億円(同160.0%増)へ上方修正しました。ただし、中間期の営業利益実績が従来予想(250億円)を57億31百万円上回ったのに対し、通期営業利益の増額幅は10億円にとどまります。公表された通期予想と中間期実績から逆算すると、下期の営業利益見通しは302億69百万円となり、従来の下期計画(350億円)を47億31百万円下回る計算です。

 下期の見通しを慎重に据え置いた背景には、地政学的リスクや急激なコスト環境の変化があります。中東情勢の緊迫化に伴う原材料・物流コストの動向に加え、同社は下期以降に電子部品価格高騰の影響を大きく受けると警戒しています。また、中国市場の販売低迷が続くなか、世界の自動車生産台数については通期で前期比微減を想定しています。通期業績予想の前提為替レートは1米ドル=155.0円、1中国元=22.8円に設定されており、中間期の実績レート(米ドル160.0円、中国元23.6円)よりも円高方向で見込んでいます。

 業績動向と財務基盤を踏まえ、株主還元の拡充を決定しました。2026年9月末を基準日とする中間配当は、直近予想から4円増額となる1株当たり32円(配当総額約82億円、効力発生日2026年12月4日)に決定しました。期末配当予想も従来の30円から32円へと2円引き上げ、これにより年間配当予想は従来予想比6円増、前期実績比8円増の1株当たり64円となる見通しです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)