今回のニュースのポイント
米太陽電池メーカーのSEG Solarは2026年10月29日、米テキサス州で9億5,000万ドルを投じる太陽電池セル工場の建設計画に向け土地契約を締結しました。新工場は高効率なHJTセルを年産4GW製造する計画で、2028~2029年に段階稼働し700人超の雇用創出を見込みます。既存のモジュール工場と連携して中核部材からの一貫生産を目指し、米国内調達要件への対応を支援する構想です。
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米太陽電池メーカーのSEG Solarは2026年10月29日、米テキサス州ヒューストン近郊のトンボールにある産業団地「Tomball Industrial Campus」において、太陽電池セル工場の建設計画に向けた土地契約を締結したと発表しました。投資計画額は9億5,000万米ドルに達し、年間製造能力は4ギガワット(GW)を予定しています。同社は新工場を通じて地元で700人を超える雇用創出を見込んでおり、米国内の製造基盤を大きく拡張する方針です。今回の発表は土地契約の締結という初期段階の進展ですが、太陽光パネルの組み立てにとどまらず、発電の心臓部であるセル製造を米国内で手掛ける大型投資構想として注目を集めています。
新工場は、高効率な発電性能を持つ「ヘテロ接合型(HJT)」太陽電池セルを製造する計画です。工場の立ち上げは2段階に分けて進められる予定で、2028年に第1段階として2GW分を稼働させ、2029年に第2段階として追加の2GWを稼働させることで、年産4GWのフル生産体制を目指します。ここで示されている年産4GWは、太陽電池セル自体の年間製造能力を出力換算した数字であり、同社が新たに4GW規模の発電所を建設したり、電力会社が発電設備を確保したりする意味ではありません。あくまで部材としてのセルを年間どれだけ生産できるかを示す設備能力の目標値です。
今回の計画が持つ大きな特徴は、既存設備との密接な連携にあります。新工場は、同社がすでに運営する「Tomball #1」モジュール工場(公表製造能力4GW)に隣接して建設される構想です。さらに同拠点内では、年産4.6GWの能力を持つ「Tomball #2」モジュール工場の建設も進められています。注意すべきは、Tomball #1や#2が最終製品である太陽光パネル(モジュール)を組み立てる施設であるのに対し、新工場はその内部に組み込まれる発電素子(セル)を製造する施設である点です。異なる工程の能力であるため、これらを単純合算して12.6GWの完成品パネルができるわけではありませんが、同一拠点で部材から完成品までをカバーする集積が進みます。
産業構造の観点から特に重要なのは、モジュールの組み立てだけでなく「セル」の国内生産に踏み込む点です。太陽電池セルは、半導体の性質を利用して太陽光を直接電気に変える基本単位の部材です。一方のモジュールは、複数のセルを配列して封止材やガラス、アルミ枠で保護・一体化させた完成品パネルを指します。太陽光パネルを米国内で組み立てても、組み込むセルを海外から調達する場合、主要工程の一部は国外に残ります。今回の計画は、セルの製造工程も米国内に加え、部材調達から完成品の製造までを一体化する構想です。同社は、こうした製造体制によって供給網の信頼性を高めることを目指しています。
新工場で採用されるHJT技術は、結晶シリコンとアモルファスシリコンなど異なる半導体層を組み合わせ、高効率化を狙う太陽電池技術の一つです。同拠点には研究開発センターや認証試験所、倉庫などがあり、さらにEVA封止材やジャンクションボックス(接続箱)といった主要部材の生産ラインも計画されています。セル、主要部材、モジュールの拠点を一堂に集約する「垂直統合」を進めることで、製造工程の管理を一体化し、調達元の把握を容易にする狙いがあります。
この垂直統合構想は、顧客企業の米国内調達要件への対応とも結びついています。米国内で製造された部材を使用することは、太陽光発電事業者が国内調達要件への対応を検討するうえで重要な要素となります。SEG Solarは、米国製セルを組み込んだモジュールを供給することで、顧客の調達上の選択肢を広げる考えです。ただし、個々の事業者が優遇措置を受けられるかは案件ごとの条件に左右され、本製品の購入が自動的に税制上の適用を保証するわけではありません。
大型投資計画が公表された一方、現時点での確定事項は「土地契約の締結」である点には留意が必要です。発表された9億5,000万ドルの投資額、年産4GWの能力、700人超の雇用、2028~2029年の段階稼働は、すべて同社が目指す将来の計画・見通しです。実際の稼働に至るには、正式な工場着工、設備の発注、資金調達、許認可手続きなど多くの工程を経る必要があります。完成品の組み立てから中核部材の国内製造へと歩みを進める米国の太陽光産業において、本計画が予定通り具現化していくか、今後の建設進捗が注視されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













