米McKay Brothers、中空コア光ファイバー網を拡張へ 金融市場とAI計算拠点を低遅延で接続

2026年11月03日 17:09

データセンター2

米McKay BrothersとRelativity Networksは、中空コア光ファイバー網の拡張で提携した。金融市場向けの低遅延通信に加え、AI計算拠点への接続も計画している(画像はデータセンターのイメージ)

今回のニュースのポイント

米McKay BrothersとRelativity Networksは11月2日、中空コア光ファイバー網の拡張で提携したと発表しました。McKayはRelativityの「ChronoCore」を購入済みで、米ニュージャージー州の金融市場関連拠点間での商用導入を計画します。専用ファイバーの長期使用権や10~400Gbpsの通信サービスを提供する方針です。AI推論・学習を担うデータセンターへの接続も想定しますが、敷設完了やサービス開始日は発表されていません。

本文
 金融市場向け通信ネットワーク事業を手掛ける米マッケイ・ブラザーズ(McKay Brothers, LLC)と、低遅延光技術を開発する米レラティビティ・ネットワークス(Relativity Networks)は2026年11月2日、中空コア光ファイバー網の開発・拡張に関する提携を発表しました。両社は米ニュージャージー州に集積する主要な金融市場拠点を結ぶ通信網を初期対象として、次世代光ファイバー技術の商用導入を計画しています。

 今回の提携における具体的な進展として、マッケイ・ブラザーズはレラティビティ・ネットワークスが提供する反共振型中空コア光ファイバー「クロノコア(ChronoCore)」を選定し、購入を完了しました。資材調達という商業的な実行段階に入ったものの、発表内容は商用導入に向けた開発計画であり、現時点で全区間の敷設完了や回線の開通を意味するものではありません。

 導入されるクロノコアは、ガラスを主材料とする従来の光ファイバーとは異なり、光が空気や中空のコアを伝搬する反共振型の特殊構造を採用しています。レラティビティ・ネットワークスによると、光ファイバー内部におけるデータの伝搬速度は従来のガラス光ファイバーより約47%速いとされています。ただし、この数値は素材内の物理的な伝搬速度の差であり、ネットワーク全体の遅延削減率とは区別されます。

 両社が計画するネットワークでは、特定の顧客が専用で利用する光ファイバー対の長期使用権(IRU:Indefeasible Right of Use)の提供に加え、10Gbpsから最大400Gbpsまでの接続サービスの提供が予定されています。なお、これらは提供を計画している通信サービスの仕様であり、すでにサービス提供が開始されたわけではありません。

 初期導入先のニュージャージー州は、主要な取引所や金融関連施設が集積する重要地域です。通信速度が取引競争力を左右する金融市場では、取引所間の通信や市場データ伝送など極めて厳格な低遅延性能が求められます。両社は専用光ファイバーと大容量接続サービスを組み合わせ、低遅延を重視する金融事業者の高度な需要に応える方針です。

 さらに今回のネットワーク設計には、主要な通信経路の近隣で開発されるデータセンター案件へ接続する分岐経路の設置が含まれています。膨大な電力を必要とするAIの推論や学習を担う計算施設は、電力を確保できる場所に建設されます。両社は、金融市場の既存ネットワークと分散するAI計算拠点を低遅延で結ぶ通信インフラの構築を見据えています。

 レラティビティ・ネットワークスは、クロノコアの低分散特性により中継再生設備を削減し、電力消費や設置スペースを抑える設計を目指すとしています。今回の発表は、中空コア光ファイバーの購入を経て計画が始動した段階であり、ネットワーク全体の敷設完了やサービスの正式開始、AI計算拠点への接続は今後の開発過程に委ねられています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)