日テレHD、上期営業益48%減 広告収入苦戦も制作収入140%増、総還元性向40%以上に

2026年11月05日 16:08

今回のニュースのポイント

日本テレビホールディングスが2026年11月5日に発表した2027年3月期中間決算は、売上高が前年同期比5.2%増の2,466億5,500万円となった一方、スポット広告収入の18.3%減や制作費増により営業利益は48.3%減の171億6,700万円でした。KANAMEL連結でコンテンツ制作収入が140.4%増え、投資有価証券売却益等により中間純利益は3.0%増の271億9,900万円でした。総還元性向目標を40%以上へ引き上げ、通期予想と年間配当45円予想は据え置きました。

本文
 日本テレビホールディングス(日テレHD)は2026年11月5日、2027年3月期第2四半期連結決算を発表しました。当中間期の連結売上高は前年同期比5.2%増の2,466億5,500万円と増収となったものの、本業の儲けを示す営業利益は同48.3%減の171億6,700万円と大幅な減益となりました。同社は同時に、株主への利益還元を一層強化するため、株主還元方針の変更を取締役会で決議し、総還元性向の目標を従来の「35%以上」から「40%以上」へと引き上げる方針を公表しました。地上波広告のスポット収入苦戦や大型中継に伴う制作費増が利益を圧迫した一方、映像制作大手の新規連結効果で制作収入が急伸し、増収と大幅な営業減益、そして積極的な株主還元目標の引き上げが同時に示される決算となりました。

 基幹の地上波テレビ広告事業をみますと、収入区分によって明暗が分かれる結果となりました。地上波テレビ広告のうちタイム収入は、2026年6月に開幕した「FIFAワールドカップ2026」のセールスが堅調に推移したことにより、前年同期比6.9%増の532億1,100万円と増収を確保しました。しかし、スポット収入につきましては、在京キー局の中で高いシェアを維持したものの、前年同期比でシェアが低下したことなどから同18.3%減の508億4,400万円へと落ち込みました。スポット収入の減少額は113億9,800万円に達し、タイム収入の増加分を大きく打ち消す形となりました。BS・CS広告やデジタル広告の減収も重なり、広告事業全体の売上高は前年同期比7.2%減の1,165億3,600万円にとどまりました。

 広告事業の苦戦を補い、全体の売上高を押し上げる原動力となったのがコンテンツビジネスの拡大です。中間期のコンテンツ制作収入は、前年同期比140.4%増の329億9,400万円へと急増し、前年同期から192億7,100万円の増加を記録しました。この大幅な増収は、映像制作事業などを展開するKANAMEL株式会社を連結子会社化した影響によるものです。さらに、ドラマ過去作品のグローバル配信事業者向けセールスが好調に推移したことや、音楽出版子会社の著作権収入の堅調推移を背景に、コンテンツ販売収入も同0.4%増の472億1,700万円となりました。これらにより、コンテンツビジネス全体の売上高は同30.7%増の873億500万円へと大きく伸長しました。

 利益面では、売上高の増加を上回る営業費用の膨らみが営業減益の主因となりました。営業費用は、前年同期比14.0%増の2,294億8,800万円へと282億1,700万円増加しました。スポット収入減少に伴う代理店手数料の減少があったものの、ワールドカップ中継に伴う番組制作費の増加や、KANAMELの連結子会社化に伴う費用増加が大きく影響しました。この結果、経常利益も同42.3%減の229億4,900万円へ減少しました。しかしその一方で、親会社株主に帰属する中間純利益は同3.0%増の271億9,900万円と増益を確保しました。投資有価証券売却益196億3,700万円の特別利益計上などが最終利益を押し上げる結果となりました。

 決算と同時に公表された資本政策では、株主還元の充実が明確に打ち出されました。同社は2026年11月5日の取締役会において株主還元方針の変更を決議し、従来「35%以上」としていた総還元性向の目標を、2027年3月期より「40%以上」へ5ポイント引き上げることを決定しました。継続的で安定的な株主還元を基本とし、自己株式の取得についても経営環境や市場動向に応じて機動的に継続する方針です。なお、2027年3月期の年間配当予想につきましては、中間配当実績の1株当たり10円と期末配当予想35円を合わせた年間45円(前期実績と同額)で据え置かれました。総還元性向の引き上げは配当と自己株式取得を含めた還元枠組みの強化であり、現時点での年間配当予想の増額とは区別されています。

 あわせて公表された成長戦略では、中期経営計画に掲げる1,000億円の成長投資枠を活用し、グローバル展開を加速させる方針が示されました。KANAMELのグループ化を起点に、海外制作会社やVFX事業者への出資・買収、アニメIPの海外管理事業者への出資・買収、バラエティの現地制作などを検討し、2033年度に売上高7,000億円、営業利益700億円を目指す目標を掲げています。同時に、災害報道等の公共的使命を果たすための手元資金保有方針も確認されました。なお、2027年3月期の通期連結業績予想につきましては、売上高5,350億円(前期比10.4%増)、営業利益490億円(同29.3%減)、当期純利益515億円(同9.3%減)の期初予想をそのまま据え置いています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)