企業の採用活動が変わりつつある。2014年卒採用で「とくに注力する採用施策」を問うた結果では「学内企業セミナー」「自社セミナー・説明会」が1位、2位となった(HR総合研究所)。注目すべきは、これまで1位だった「就職ナビ」が3位に落ちたことだ。
企業はこれまで、就職ナビサイトに求人を載せたり、ナビサイトが運営する合同企業説明会に出展したりすることで学生の応募を集めてきた。しかし上記の調査結果からは、企業が就職ナビ依存を弱め、学校別のセミナーや説明会を重視し始めていることが分かる。
企業の意向に答えるように、大学側も学内企業セミナーを強化している。特に大規模校では64%が「学内企業セミナーを強化し増やしていく」と回答した。
企業がターゲット校を絞った採用にシフトし、大規模校は学内企業セミナーを強化するという流れは、就活における「学歴格差」を明るみに出すだろう。
昨年大学を卒業した約56万人のうち、15.5%に相当する8万6千人が進学も就職もしなかった(文部科学省「平成24年度学校基本調査」)。進学も就職もできなかった者のうち、約3万3千人(卒業者の約6%)は職探しや進学準備をしていない「新卒ニート」であることが判明した。
文部科学省は3万人の「新卒ニート」の大学別内訳を明らかにしていないが、少なくとも学生の内定状況は、大学ごとにはっきりと差がある。身も蓋もない話だが、偏差値が高い大学の学生の方が内定率が高く、そうでない大学の学生は苦戦している。
企業が就職ナビへの依存度を弱め、特定の大学にターゲットを絞って採用するようになれば、就活における学歴格差はますます拡大するだろう。
ワンクリックで誰でも人気企業に応募できるという「スタート時点の平等」が崩れ始めている。大学進学率が5割を超えた今、全ての大学生が同じ方法で平等に選抜されるという前提は見直されるべきだ。そうすればおのずと、中堅校や小規模校のキャリア教育のあり方も変わっていくだろう。