子供の下顎の成長や歯並びに大切なことは

2011年01月04日 11:00

 近年の研究において、「噛むこと」は下顎の成長や歯並びなど、成長期の口腔の発育に影響を与えることが明らかになってきた。しかし、上顎の発達と咀嚼の関連性については、今まで十分な研究がされていなかったという。

 そこでライオンは、オーラルケア研究の一環として、同社包装技術研究所と日本大学松戸歯学部 歯科矯正学講座との共同研究において、製品開発で活用している力学解析シミュレーション技術を応用し、噛み合わせの力が小児の上顎骨について解析したという。

 一般的に骨は運動などの力の負荷が刺激になって成長が促進されている。同研究では、小児の上顎骨に咬合力がどのような影響を与えるのかを明らかにするため、噛みごたえのある「硬性ガム」を試料として用い、奥歯で咀嚼する力学解析シミュレーションを実施。その結果、上顎の骨が接する鼻腔側壁及び上顎正中口蓋縫合部に、咀嚼によって加わる力が集中していることが判明した。また、「柔らかいものなどを上下に噛み潰す咀嚼パターン」と、「硬いものなどをすり潰すように噛む顎の横の動きが加わった咀嚼パターン」を比較すると、「すり潰すように噛む咀嚼パターン」の方が上顎正中口蓋縫合部により大きな力が加わることが示されたという。

 これにより、咬合力が上顎骨の成長点に力の負荷をかけることで、口蓋部や鼻腔底幅の成長や形成に関与している可能性があり、歯並びにも影響する子どもの顎の成長のためには、「食物をすり潰すようによく噛むこと」が大切ということが判明した。