5日、厚生労働省は2012年の合計特殊出生率(1人あたりの女性が一生に産む子供の平均数)が前年より0.02ポイント上回り、1.41であったことを発表した。合計特殊出生率の上昇は2年ぶりで、1996年以来16年ぶりに1.40台の数値を上回る結果となった。
70年代の後半より減少が続いていた合計特殊出生率は、05年には過去最低の1.26にまで低下したものの、その後は上昇傾向にあった。そして今回、こうして合計特殊出生率が上がった要因として、第二次ベビーブームに当たる70年代に生まれた、いわゆる「団塊ジュニア世代」の30代の女性による出産が増えたことが挙げられる。
出生率を都道府県別に見てみると、最も高かったのは沖縄県で1.90、次いで島根県の1.68。最も低かったのは東京都の1.09、次いで京都府の1.23、北海道の1.26と、都市部での出生率低下が浮き彫りとなる結果に。
また年代別では、30~49歳の出生率は前年よりも上がっているものの、15~29歳の若い世代の出生率は下がっており、さらに初産の年齢が遅い「晩産化」の傾向も進行していて、厚生労働省は今回の発表に関して、「出生率は全体的に上昇したが、20代女性のそれは低下しており、少子化は今後も続くのではないか」と分析している。それを裏付けるように、12年に生まれた子供の数は103万7101人で、去年より1万3705人の減少で、過去最低の数だった。
そして、こうして合計特殊出生率が上がったとはいえ、1.41という数値は人口維持のためには十分な数値ではなく、他の先進国と比較してもその数値は決して高いものではない。11年のアメリカの数値は1.86であり、フランスでは2.01と、いずれも日本を上回っている。
なので、今回の結果は「少子化」に改善傾向を認める結果というよりも、むしろ問題が引き続き深刻化している、そのことを再認識させられる結果であった。
15年に「少子化社会対策基本法」を制定し、妊婦検診の公費負担や不妊治療の援助などの経済的支援策を打ち出した政府だが、今のところそれは「少子化」を食い止めるための有効な策となり得ていない。それに歯止めをかけるためには、低下し続ける20代による出産を促すことが出来るような、効果的な環境整備が可及的速やかに行われるべきだろう。(編集担当:滝川幸平)