重み増す一票。改憲の動きにブレーキか弾みか

2013年07月06日 16:49

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参議院議員選挙が4日公示された。

 参議院議員選挙が4日公示された。改選数121に対し、433人が立候補した。内訳は選挙区(定数73)に271人(現職57、元職1、新人213)、比例代表(定数48)に162人(現職31、元職12、新人119)。21日の投票で、審判が下る。

 政党別では民主55(うち比例20)、自民78(29)、公明21(17)、みんな34(15)、生活11(6)、共産63(17)、社民9(4)、みどり8(3)、維新44(30)、大地11(9)、幸福50(3)、緑の党を含む諸派22(9)、無所属27になっている。

 今回選挙の注目は自公が参議院で過半数を獲得できるか、野党がこれを阻止するか。あわせて、憲法改正勢力の図式がどうなるか。改憲の動きにブレーキか弾みか。

 民主がどこまで支持を取り付けられるか。野党を束ね自公に対峙できる力を持つことができるかどうか。今後の国政を占う上で注目すべき点だ。

 ほかにも、安倍総理が語った「自民党本部公約が自民の選挙公約。自民県連が掲げる公約は地元の希望」とした総理説明が沖縄などそれぞれ課題を抱えた地元選挙区でどのように審判されるか。

 とりわけ顕著なのが沖縄での普天間飛行場の辺野古移設。本部は移設推進。県連は県外移設。福島における「原発・エネルギー政策」。福島県連は地元県民の大半の思いを反映させれば当然なのだろう「脱原発」。本部は安全確認されたものは再稼動。北海道におけるTPP対応。道連はTPPに反対だ。

 こうした事情の中で選挙区での議席獲得がなったとき、彼らは本部と真逆の方向に歩むのだろうか。突き詰めれば党を離れることにならないのか、地元有権者がどのような判断を下していくのかなどなど、国政の勢力分布と別の次元で注目されることになる。さらに今回選挙が特にこれまでの選挙と違うのは、国家のあり様、すべての法の根本となる「憲法改正」への動きが現実味を帯びた状況での国政選挙になっていることだ。

 改憲勢力の自民、日本維新の会がどの程度の議席を確保するのか。みんなの党も統治機構の改革に関しては改憲派ではある。一方、現行憲法を守る「護憲」(憲法改正阻止)を表明しているのは日本共産党と社会民主党。みどりの風は「憲法を守り、育てる」としている。

 公明は環境権などを加える「加憲」の立場。生活の党も憲法9条は堅持する立場を明確にしたうえで加憲の立場。新党大地も人権や環境権の権利・義務などを憲法に明記すべきとしているので加憲と受け止めたい。

 参議院で改憲勢力が増大すれば当然、改憲のベクトルは大きくなる。自民は改憲へ国民投票法の見直しなど本丸(改憲)への堀を埋める考えのよう。さらに、96条先行改正へ「平和主義・基本的人権・国民主権については3分の2に据え置くことも議論」することも視野に入れる意向を安倍総理は語り始めた。改憲勢力の増大は集団的自衛権の行使への政府解釈変更にも拍車をかけることになる。そのことが良いのか、悪いのか、それは国民の審判結果に待つほかないが、そうした動向への賛否も踏まえた投票になることを有権者は心すべき選挙といえよう。(編集担当:森高龍二)