東京電力福島第一原発敷地内、海側の、観測井戸から高濃度の放射性物質が、地下水から検出された。この物質は、高濃度のトリチウム(三重水素)とストロンチウム90。
この問題で、東京電力<9501>は、6月29日、問題の井戸より、19メートル海側に新設した井戸からも、ストロンチウムなど、ベータ線を出す、放射性物質を1㍑あたり、3000ベクトルを検出したことを明らかにした。
この値は、問題の井戸の検出濃度の2倍以上にあたる。この問題で東電は、「引き続き詳しく調査して、海への流失の有無を判断したい」としている。
東電によると新設井戸を掘削したのは、海岸から6mの地点。28日に採取した地下水を分析し、検出されたトリチウムは、1㍑当たり、43万ベクトルが検出され、この値は問題の井戸と同レベルだった。
トリチウムの43ベクトルと言えば、国が定めた放出基準の約7倍にあたる高濃度の汚染物質である。これを見てもいつも否定する海への汚染問題が進んでいるのではないのか。この数字値を見て地元の関係者の間に不安が広がっているのは当然と言えよう。
また問題の井戸に近い港湾内では、海水中のトリチウムの濃度が、上昇傾向にあり、汚染水流失が疑われているという。この海への汚染問題は、日本だけでなく、世界中が不安視しているのは周知の通り。対応を間違えれば国際問題になりかねない要素を含んでいることを、東京電力と政府は肝に銘じなければならないだろう。
どこかの国のトップが、福島原発は収束したとの発言があったが、どこを指して言っているのだろう。まだ瓦礫の問題、廃炉の問題も一歩も進んでいない。そして「福島原発ではだれも死んでいない」など無責任発言が飛び出すほど、東日本大震災に対して心のゆるみが出ているのか、大勝した自民党のおごりからくる発言か。まだ福島第一原発の処理は緒に就いたところだということを、自覚する必要があろう。(編集担当:犬藤直也)