国交白書、若者の持ち家率低下が浮き彫りに

2013年07月08日 18:56

 2日、太田昭宏国土交通相は閣議にて、2012年度の「国土交通白書」を発表した。その結果、賃金上昇率の伸び悩みや、非正規雇用の増加などの影響により、1983年から08年の25年間で、40歳未満の若者における持ち家比率が42.2%から28.4%へと約14ポイント下がったことが分かった。それは住宅ローンを組めない・払えない世帯が増加し、それにより、民間の賃貸住宅に住む傾向が強まったことを如実に表している。国交省は「持ち家取得や質の高い賃貸住宅の供給支援をする必要がある」と指摘している。

 今回の「国土交通白書」では、「若者の暮らしと国土交通行政」をテーマに設定し、年代別の持家比率や、働き方の変化、また可処分所得における住宅ローンの割合などを調べた。

 その結果、83年の30~39歳の持ち家比率は約半数の53.3%だったが、08年には39%と約14ポイント低下している。また、30歳未満も83年には17.9%だったものが、08年には7.5%へと約10ポイント低下。逆に、40歳未満で民間の賃貸住宅に住む割合は、39.7%から59.7%に上がっている。

 また、89年と09年の可処分所得における住宅ローンの返済金額の割合は、全ての世代では10.7%から16.9%に上がったのに対して、30代では13.2%から19.8%と全世代の平均を上回る結果となっており、住宅ローンを組んでいる若い世代の家計では、その支払いが約2割を占めているという現状が浮き彫りとなった。白書はこういった状況を「若い世代の持ち家率の減少の一因」と分析している。

 それ以外にも今回の白書では、20代から30代の若者に、東京都に住居を構えようとする傾向が強くみられることも指摘しており、それは、移動の利便性や、娯楽施設の多い環境での生活を重視していることによるのではないかと、国交省は分析している。こういった現状を踏まえて国交省は、都市機能の集約や公共交通の充実を通じた「コンパクトシティ」の形成がさらに重要になってくるとの認識を示している。(編集担当:滝川幸平)