【今週の展望】「好決算で株価上昇」に期待しないほうがいい

2013年07月28日 20:07

 今週の例を挙げると、増収増益の好決算でも通期の業績見通しを上方修正しなかったから下落、上方修正しても市場予測に足りなかったから下落、通期の業績見通しが強気でも4~6月期の伸びと見比べて進捗率が足りないから下落など、相場解説はまるで「決算あら探し大会」と化している。その傾向は日経平均採用225種やランキング上位の主力銘柄ほど顕著。とりわけ「市場予測」と呼ばれるアナリスト・コンセンサスの数字は、株価の上昇と下落を分けるモノサシ、極楽行きと地獄行きを振り分ける「えんま帳の判断基準」として猛威をふるっている。ということは今月、アナリストを名指しで批判して出入り禁止にした楽天の三木谷浩史社長は「閻魔大王」に逆らったようなもの。その楽天の決算発表は来週8月2日にあるが、容赦なく〃地獄〃に落とされてしまうのだろうか。

 日経平均がどん底にあえいでいた1年前は少なくとも「あら探し大会」ではなかった。市場予測のポジションも低く、四半期増収増益ならそれだけで立派だった。今回も中・小型株であれば決算の業績が良ければストレートに好感されて株価が上がっている。

 しかし主力銘柄の今期はアベノミクス、異次元金融緩和、為替の円安、消費の回復、消費増税前の駆け込み需要などを背景に「増収増益は当たり前。それ以外は問題外」とされていて、四半期の業績も4~9月中間期や通期の業績見通しも、市場予測が期待している水準が相当程度かさ上げされている。そのアナリスト・コンセンサスがお気に召すような決算数字をあげるのは決して容易なことではないと今週、市場参加者は身にしみてわかったはず。それは別にアナリストが意地悪しているのではなく、日本株への期待水準がそれだけ高くなっているということだ。

 というわけで、決算でポジティブサプライズが起きることはなく、「企業決算で株価上昇」のシナリオがまぼろしとわかったら、来週は夏枯れに加えてFOMC待ち、アメリカ雇用統計待ちで売買が減る中、上昇はあまり期待できない週になる。量的緩和の早期縮小観測が後退してドル円レートが100円を下回ったままだと、お天気で言えば「秋の長雨」が続き、主力銘柄が「決算が市場予測に届かず」で下落するたびに雨足が時々強くなりそう。それでも26日に14110円付近にあった25日移動平均線を下回って、さらに14000円の大台を割り込めばテクニカル的に「下がりすぎ」と判断されて押し目買いが入りそうなので、来週の日経平均終値の変動レンジは14000~14600円とみる。こんな状況で株を買いたいなら、テーマ性があり好決算が予想される中・小型株だろう。(編集担当:寺尾淳)