6割が「地元で進学したい」都市の高校生

2013年08月04日 16:20

 高校生の「地元進学志向」が強まっている。リクルート進学総研の調査によると、今春大学に進学した学生のうち、「地元に残りたいと考えていた」学生は全体の5割と、4年前の調査と比べて12.2%も増えた。

 各社の報道では「高校生の5割が地元進学志向」という数字が独り歩きしているようだが、実際は都市部の学生とそれ以外の学生でかなりの差がついている。
 
 大都市圏の学生は60.8%が「地元で進学を」と考えていたのに対し、大都市圏以外の学生は34.6%と大幅に少ない。4年前からの増加幅も、都市に住む高校生の方が大きくなっている。つまり都市部の学生ほど、地元進学志向が強まっているのだ。

 一方で大都市圏以外の学生は、今でも3割が「地元を離れたかった」と回答。つまり都市部以外の高校生は、4年前よりも地元進学志向が若干増えているとはいえ、「地元進学派」と「地元を離れたい派」が拮抗しているのだ。

 さらに「卒業後も地元に残りたい」と考える学生も大都市圏の方が多く48%、その他のエリアでは34.8%と10ポイント以上の差がある。都市に住んでいることのメリットを十分に享受できる大都市圏の学生では、「卒業後は県外へ出たい」と考える割合が約1割なのに対し、大都市圏以外のエリアでは4人に1人が今でも、「卒業後は地元を離れたい」と考えている。

 それでも全体的なトレンドとしては、学生の地元志向が強まっているのは確かだ。背景には長引く不況で保護者が進学費用に関してシビアになっていることがある。進学時には3人に1人が「授業料が安いこと」を重視し、さらに大学の知名度や伝統・実績よりも、学べる内容などを重視した「手堅い選択」をする学生が増えていることが指摘されている。

 ということは、次回(2年後)の調査では、現在の調査で「地元進学派」と「地元を離れたい派」が拮抗している地方の学生の間でも、さらに「地元進学派」が増える可能性がある。多くの地方大学にとっては、この志向の変化をいかに志願者増に結び付けられるかが課題かもしれない。(編集担当:北条かや)