東京電力は福島第一原発敷地内の放射性物質汚染水の貯蔵タンクから300トンが漏えいした問題で、22日、漏えいしたタンクと同種のフランジ式タンクについて外観と線量について総点検した結果、「タンクやドレン弁の外観点検では漏えいや水溜りなどが確認されなかったが、タンク周辺で部分的に線量の高い箇所が2箇所あった」と発表した。
東電は「線量の高い箇所は乾燥していて、堰内や堰外への流出は確認されなかった。このタンクの水位に受け入れ時と変化ないことも確認できた」としている。
しかし、このフランジ式タンクはボルトでつなぐ簡易な構造で、接合部分が溶接されていない。樹脂(パッキン)を挟み込んでボルトで締めるというもので、耐用年数は約5年という。高濃度汚染水を貯蔵するタンクのボルト締め付けのパッキンが劣化するまでに、より安全なタンクに移す必要が生じている。フランジ式タンクは350基あるという。今回の汚染水の漏えい箇所が、タンク底部からの漏えいの可能性に次いで、ボルト部分からの可能性もまったくないとはいえないだろう。原因究明と抜本対策が急がれる。
また、漏えいタンクからの漏えいがとまっているわけではない。日量20トン程度が漏れ出ているとみられている。福島第一原発事故の事態はより深刻になりつつある。相沢善吾副社長は福島に常駐し、陣頭指揮する考えを示したが、そんなことは事故発生時からすべきことだった。放射性物質による汚染問題は海洋のみでなく、自然系生態系への影響についても徹底した調査が求められている。合わせて、国の責任や担当分野と当事者である東電の責任や担当分野の明確化も改めて明確に国民に示すべき時期に来ているといえよう。(編集担当:森高龍二)