とは言いながら、第1四半期の業績や次々と伝えられる業績観測記事を見渡せば、主要企業の業績はおおむね1年前と比べると大きく改善している。来週31日に揃って決算発表を行うパナソニック<6752>、シャープ<6753>、ソニー<6758>は、1年前は巨額の最終赤字を計上してマーケットだけでなくひろく国民の間でも衝撃的に受け止められたが、その後、ソニーは資産売却を進めて通期では最終黒字になり、パナソニックは「選択と集中」の事業リストラの真っ最中で、シャープは大規模な増資で財務改善を進めている。復活いまだ途上でも、1年前のようなショッキングな内容にはならないだろう。
自動車に代表される輸出産業は円安効果を享受し、小売業に代表される内需型産業は個人消費の回復に助けられ、今期いっぱいは来年4月の消費増税前の駆け込み需要が望める。建設業のように政策で特需が生じている業種もある。だから「業績相場」という観点で言えば、好業績期待で株価が少しは上振れしていい状況のはずだが、今週は前週末比473円安という全く逆の結果になった。
その原因については、アメリカの量的緩和縮小開始が年を越しそうで、長期金利が低下してこれ以上はドル高になりにくい、「45日ルール」で11月15日頃にかけて海外ヘッジファンドの解約売りが出る、10月は海外のミューチュアルファンド(投資信託)の決算月で買いが手控えられる、半年前の「黒田異次元緩和」から5月にかけてふくらんだ信用買い残について制度信用取引の決済期限が到来している、キャピタルゲインの税率が10%ですむのは12月末までなので節税目的の売りが出始めている、11月5日のカラ売り規制緩和に備えて手じまい売りが出ているなど、いろいろ言われている。薄商いがしつこく続くのも、15000円チャレンジどころか9月高値、7月高値をなかなか抜けないのも、ひとえにそうした需給要因のせいにされている感がある。
だが、それにしても25日の魔がさしたような398円安、終値14088円は売られすぎ。「10月は魔物がすむ」というアノマリーがあるが、ハロウィーンの魔物が1週間早く集結して悪さをしたかのような下落ぶりだった。75日移動平均まで割り込んだので、来週は週明け早々に自律反発してもおかしくない。その場合は14500円前後が「正常化」「安定化」のメドになるだろう。
下限は10月11日以来、終値でずっと上回ってきた14400円が一つの目安になる。一方、上限は悲願の15000円や7月高値の14953円や9月高値の14817円の突破までは距離があり、需給要因で買いのエネルギーも不足しているので、23日に手前ではね返された14800円ぐらいが精いっぱいか。ということで、来週の日経平均終値の変動レンジは14400~14800円とみる。来週は中間期決算が前半のピークだが、「業績相場」と日経平均は別物だと割り切ったほうがいいだろう。(編集担当:寺尾淳)